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2025.08.25 18:00

恋人と「まとまっていない考え」を共有するほど親密に、4つの理由を心理学者が解説

Shutterstock.com

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正しい言葉を選び、自分の考えを完璧に言葉にすることは、パートナーとのつながりを築くのに役立つだろう。だが、それは長くは続かないかもしれない。考えてみてほしい。洗練され、十分に準備されていることは、本当に自然なものに感じられるだろうか。実は感情面での親密さは、まとまっていない考えにある厄介で傷つきやすい部分で育まれることが多い。

まとまっていない考えは、書き始めたものの、最後まで仕上げることができていない文章のようなものだ。まだ取り組んでいるアイデアやまとめ上げようとしている意見、はっきり言葉にできない感情などの根底にあるものだ。そして皮肉なことに、親密さを深めるのはこうしたありのままの共有だ。

まとまっていない考えを分かち合うことで、関係が深まる4つの理由を紹介しよう。

1. 結論ではなく共同構築を促す

まとまった考えを示すのではなく、まだその過程にある考えを共有するとき、あなたはまとめる作業に相手を招いていることになる。本質的にパートナーに「私はこれをすべて理解しているわけではないが、理解するのを手伝ってほしい」と言っているのだ。それはかなり親密な意思表示だ。

「独自性の共同構築」に関するジョン・スチュワートの研究は、これを見事に捉えている。専門誌『Atlantic Journal of Communication(アトランティック・ジャーナル・オブ・コミュニケーション)』に2022年に掲載されたこの研究によると、親密さは共感や同意からだけ育まれるものではない。2人が積極的に意味を共に構築することで深まる。

わかりきっている役割や思い込みに互いをはめ込むのではなく、共に構築することで「何があなたを他の誰とも違う存在にしているのか」と問うことになる。そしてその答えは、リアルタイムのやり取りを通じて自然に浮かび上がってくる。

共同構築は、まとまっていない考えを共有することで実生活でも可能になる。それは、コミュニケーションを「あなたが話し、私が答える」というやり取りから、共同の意味づけへと変える。ゴールは、誰が正しいかを決めることではなく、自分だけの何かを一緒に創造することだ。そしてその過程で、2人の間で「私たち」という感覚が強まる。

2. 信頼と感情面での安全性を示す

まとまっていない考えを共有することは、気づかれにくい勇気ある行為だ。共有することで、あなたは自分が心に抱いていることだけでなく、どのように考えているかをリアルタイムで明らかにする。パートナーにあなたの弱さや混乱、創造の過程を見せることは、親密な行為だ。というのも「途中経過を見せられるほどあなたを信頼している」と伝えることになるからだ。

専門誌『Communication Education(コミュニケーション・エデュケーション)』に掲載された、学生のデザインチームの創造的な問題解決の共同作業に焦点を当てた研究によると、お互いの意見をすぐに理解したり評価したりしたいという衝動を抑え、曖昧な部分を受け入れる余裕を持つことで、個々にではなく一緒にアイデアを構築することが可能になるという。

恋愛関係でも同じように、「どう言えばいいのかよくわからないんだけど...」「バカバカしく聞こえるかもしれないけど...」と言うとき、私たちは「あなたはこれを解決する必要はない。ただ、わからないまま自分と一緒にいてほしい」というようなリクエストをしている。

パートナーが訂正したり批評したりすることなく耳を傾けてくれるとき、それはあなたの最もまとまっていない考えでさえも、パートナーとなら安全が確保されるということだ。そしてこの安全性はやがて、感情面での深い親密さを築く足がかりとなる。

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翻訳=溝口慈子

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