高い感情知能(EI:emotional intelligence)を発揮するリーダーはしばしば、共感力、コミュニケーション能力、複雑な人間関係をかじ取りする能力を高く評価される。しかし、すべての強力なツールがそうであるように、EIにも誤用の可能性がある。
EIは、信頼やコラボレーション、そして前向きな職場環境を育むことができるが、その一方で、チームを操作・支配・搾取するための武器としても利用できる。使い方を誤ると、EIは有害なものとなり、思いやりを装った操作や、つながりを装った支配が生まれてしまう。問題は、「本物のリーダーシップ」と「感情の搾取」を、どのように見分けるかだ。
高い感情知能(EI)はもろ刃の剣
EIは本質的に、自分自身と他者の感情を理解したり、管理したり、影響を与えたりする能力のことだ。これには共感、自己認識、そして強固な人間関係を構築する能力が含まれる。EIを倫理的に活用することで、リーダーはチームとつながり、コラボレーションを促進し、心理的に安全な環境をつくり出せる。
しかし、EIによって優れたリーダーとなるためのスキルを、チームを鼓舞するのではなく操作するために使われると、危険なリーダーを生んでしまう可能性がある。感情や人間関係の力学を読むことに長けたリーダーは、これらの能力を使って権力を獲得し、反対意見を抑制し、結果を自分に有利な方向へと操作できる。
こうしたリーダーは、一見したところ、思いやりがあり、支援的に見えることで、チームの警戒心を解き、その結果、実害が発生するまで、チームメンバーは有害な行動に気付かないこともある。
EIが非倫理的に使われると、それはエンパワメントのツールではなく、コントロールのツールになる。こうしたリーダーは、オープンな対話と相互の信頼を育む代わりに、自分の利益のために人々の感情を操作し、支援的な環境ではなく息苦しい職場環境をつくり出してしまう。



