価値ある資質3:共感をもってチームを導く
内向的なリーダーは、しばしば高い共感能力を持っており、チームの感情的ニーズを理解し対処することにひときわ長けている。彼らは概して他者の感情の機微に敏感で、自身の意思決定が周囲の人にどのような影響を与えるかに気を配る。こうした感情的知性は、効果的なリーダーシップにとって不可欠な要素であり、内向的なリーダーはこれを生かしてチームメンバーとのあいだに強固な関係を築く。
共感を軸としたリーダーシップは、部下にとって、自分はサポートされ価値を認められていると感じられる環境を醸成する。内向的なリーダーは、1対1のやりとりを得意としており、そのなかで個としての深いつながりを築き、相手のモチベーションを理解し、個別の助言を提供する。このような関係構築により、信頼と忠誠のカルチャーが育まれ、部下は、リーダーが本当に自分のウェルビーイングを気にかけてくれていると感じるようになる。
外向的なリーダーが大人数の集まりや公の場で強みを発揮するのに対し、内向的なリーダーは、小規模かつ親密な環境で輝く。彼らは、こうした機会を生かして強いつながりを築き、開かれたコミュニケーションを促し、相互尊敬と相互理解のチーム文化を構築する。このようなタイプのリーダーシップは概して、低い離職率、高いエンゲージメント、ポジティブな職場環境という結果につながる。
リーダーシップにおける内向性と外向性のバランス
内向性と外向性は、リーダーシップの文脈において相互排他的な概念ではないことに注意しよう。有能なリーダーの多くは、内向―外向スペクトラムの両端の特性を兼ね備えている。優れたリーダーシップの鍵は、100%内向的になることでも、100%外向的になることでもない。重要なのは、それぞれの強みを生かすタイミングを知ることだ。
内向的なリーダーであっても、必要に応じて外向的な行動をとることで、より大きな成果を上げられる。公開フォーラムで発言したり、適切な状況で進んでスポットライトを浴びたりといったことだ。同様に、外向的なリーダーも、内向性の強みを取り入れ、アクティブリスニングを実践し、熟慮の上で判断し、個人とのやりとりで共感を示すことができる。
飛び抜けて有能なリーダーは、臨機応変に自分のスタイルを調整し、内向性の秘められた力と、外向性のダイナミズムの双方を融合させる。彼らは、リーダーシップにはただ1つの万能なアプローチがあるわけではなく、状況に応じて異なる資質が必要とされることを理解しているのだ。
結局のところ問題は、内向的な人と外向的な人のどちらが良いリーダーになるかではない。大切なのは、それぞれがもたらす価値を認識し、多様なスタイルを受け入れてこそ、リーダーシップの成果を最大化できると理解することだ。


