リーダーシップ

2025.08.27 12:00

ビジネスリーダーが活かす内向性の資質――「傾聴と熟慮、共感」が組織を成長へ導く

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価値ある資質1:聞く力

内向的なリーダーが持つ、最も価値ある資質の1つが、聞く力だ。誰もが先を争って話したがり、聞く方にはあまり回らないハイペースな現代社会において、内向的な人は新鮮な変化をもたらす。彼らは、会話の主導権を握ることや、言葉で自分の価値を証明することにはとらわれない。代わりに、情報を吸収し、多様な意見を理解し、熟考を重ねて意思決定を行うことを重視する。

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こうした「聞く力」がとりわけリーダーに重要なのは、それが信頼を醸成するからだ。リーダーが部下のために時間を割き、部下たちが持つ懸念やアイデアやフィードバックに真剣に耳を傾けるとき、部下たちは、自分の意見や存在が尊重されていると感じる。

また、内向的なリーダーは、しばしば話しかけやすく、共感性が高いと認識される。これは彼らが、チームメンバーが自然体で意見を表明できる空間をつくることに長けているからだ。

聞く力を軸としたリーダーシップスタイルは、チームのパフォーマンス向上にもつながる。人は、話を聞いてもらえると実感すると、とっておきのアイデアでチームに貢献し、積極的に協働するようになるからだ。内向的なリーダーは、個人による支配よりも協働的インプットの最大化に努めることで、すべての意見を尊重し、チームの総合力を高めるのだ。

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価値ある資質2:思慮深い意思決定を重視

内向的なリーダーは、意思決定プロセスにおいて、概してより思慮深く内省的だ。拙速な行動を取るよりも、時間をかけて状況のあらゆる側面を考慮する。優柔不断というより、速さよりも完全性を重視するのだ。プレッシャーの厳しい環境では、このようなリーダーシップが安定化作用を持ち得る。

外向的なリーダーが、即断即決や大胆な動きに優れるのに対し、内向的なリーダーは、行動の前に、起こり得る結果を考え抜くことに長けている。彼らの分析と内省の力が、より良い長期戦略を生み出すことは珍しくない。「すぐに認知され、支持されなければならない」という意識に突き動かされていないため、組織にとって長期的に最善の策を選ぶことができる。

慎重な意思決定は、とりわけ危機的な状況でものを言う。周りがパニックに陥ったり、拙速な判断に走るなか、内向的リーダーは冷静さを保ち、状況を多角的に分析した上で、最善の行動指針を定める。彼らは着実なアプローチによって、チームに安心感をもたらし、最も必要とされる時に明確な方向性を提示する。

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翻訳=的場知之/ガリレオ

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