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2025.08.22 14:00

パウエルFRB議長の講演より来週27日の「エヌビディア決算の方が重要」である理由

Justin Sullivan/Getty Images

投資家がエヌビディアのQ2決算に期待すること

ここ数週間、投資家の間ではエヌビディアへの投資に懐疑的な見方が強まっている。例えば、パランティアの株価は数週間前に190ドルの高値をつけたが、そのQ2決算が好調だったにもかかわらず、その後20%下落した。

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下落の一因は、同社株が74%過大評価されていると空売り筋が試算したことだったが、より大きな理由は同社のAI投資による成果がほとんど出ていないことにある。

昨年9月、私は生成AIが「期待外れ」だと見ていた。人々はChatGPTを使ってメールやレポート作成を行っていたが、iPodにおけるiTunesストアやパソコンにおける表計算ソフトのような「キラーアプリ」は存在しなかった。

今週、マサチューセッツ工科大学(MIT)はこの点を数字で裏づけた。

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SeekingAlphaで紹介されたMITのNANDA Instituteによる研究は、「企業による生成AI投資が300億ドル(約4兆4600億円)から400億ドル(約5兆9400億円)規模に達しているにもかかわらず、95%の組織はリターンを得られていない」と述べている。この調査は、150人の専門家へのインタビュー、従業員350人へのサーベイ調査、公開されているAI導入事例300件の分析に基づいている。

投資家は、このAIからの乏しい成果がエヌビディアの成長見通しを鈍化させると懸念するだろうか。もしそうなれば、エヌビディア株は下落し、テクノロジー株全体の売りにつながる可能性がある。

この懸念を踏まえ、27日に発表されるエヌビディアのQ2決算が注目される。5月に同社は、Q2における売上高が450億ドル(約6兆6800億円)になると予想していた。Investor’s Business Dailyによれば、この数字は投資家予想を9億2000万ドル(約1366億円)下回ったが、前年同期比では50%増にあたる数字だ。

直近では、投資家はさらに高い数字を期待している。MarketBeatによれば、アナリストたちはエヌビディアのQ2売上高が前年同期比52.4%増の456億5000万ドル(約6兆7804億円)になると予想しており、EPS(1株あたりの純利益)は同47%増の1.00ドルと見込んでいる。

さらにThe Motley Foolによれば、市場はエヌビディアのQ3決算における売上高が525億ドル(約7兆8000億円)になると予想している。

エヌビディアがこれらの予想を上回り、売上高見通しを引き上げれば株価は上昇するだろう。そうでなければ、エヌビディア株の下落は他のAI関連銘柄にも波及しかねない。一方、22日に予定されているパウエルの講演が市場に与える影響は、はるかに限定的になると私は見ている。

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forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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