テクノロジー

2025.08.24 16:00

米大麻業界に迫る自動化 元NASAエンジニアが仕掛ける製造ロボット最前線

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異色の経歴を持つ、ロボット工学オタクの創業者パータンスキー

パータンスキーは典型的な大麻起業家とは異なる、ロボット工学オタクだ。ここ最近は主に睡眠のためにエディブル(食用大麻製品)を摂取しているという彼は、ときどき自社のマシンで作られたジョイントを吸うこともある。

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マンハッタンに生まれ、ロサンゼルスで育ったパータンスキーは、高校時代にトレーディングカードの『マジック・ザ・ギャザリング』のプロプレイヤーとして活動したことがあり、「異常なレベルで『マジック』にハマっていた」と振り返る。2013年にカリフォルニア大学デービス校で機械工学の学位を取得した彼は、2015年にジョージア工科大学で航空宇宙工学の修士号を取得した。

NASAから大麻ロボットへ

パータンスキーの最初の仕事は、モハーヴェ砂漠にある民間宇宙開発スタートアップXCor Aerospaceでのインターンシップだった。そこで彼は、ロケット工学が「魔法ではなく、台所仕事のように現場の工夫の積み重ねだ」と気づいた。会社の創業者たちは非常に優秀だが、まったく敵わない天才というわけではないと理解した。

さらに修士課程中に3Dプリンティング企業「Lathon」を立ち上げた後、NASAのジェット推進研究所に就職し、火星で酸素を生成する装置「MOXIE」のプロジェクトに携わった。しかし間もなく、自分の心により近い分野で新しい会社を始めたいという欲求に駆られた。

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2018年、彼はソーティング・ロボティクスを立ち上げ、最初に『マジック・ザ・ギャザリング』のカードを仕分けする機械を製造した。これは手作業であれば数日を要する作業で、「カードの仕分けは誰にとっても苦痛だった」と彼は言う。

Yコンビネータ採択と大麻市場参入

しかし、パータンスキーと共同創業者たちは、「トレーディングカードのゲーム」よりも大きな潜在市場を持つ事業を作りたいと考えた。2018年末、3人はスタートアップアクセラレーターのYコンビネータに応募し、採択された。そこで5カ月間、異なる業界の企業に片っ端から電話をかけ、自動化の余地がある市場を探した。そのとき出会ったのが大麻業界だった。

「その頃ちょうど合法大麻の会社を始めたばかりの友人たちがいて、『この分野には自動化がまったくない。何でもいいから作ってくれ』と言われた」とパータンスキーは振り返る。「何をしているのか自分たちでもよくわかっていなかったが、課題は見えていた。2019年末にはYコンビネータのデモデイで数百万ドル(数億円)を調達し、大麻市場に挑戦した」。

資金調達と初期事業

創業メンバーはその後、Splash Capital、Night Owl Ventures、Genesis Venturesから350万ドル(約5億1000万円)を調達し、『マジック・ザ・ギャザリング』のカードを仕分けする会社をわずかな額で売却すると、大麻業界を学ぶためにオークランドで大麻の製造とパッケージングの事業を立ち上げた。すると間もなく、THCを加えたジョイントが人気である一方で、手作業による製造は時間がかかりすぎることに気づいたという(カリフォルニアの大麻市場が低迷し始めた2022年、パータンスキーはこのパッケージング事業を大麻の販売所チェーンに売却した)。

大麻ロボット製品の進化

数年の開発期間を経て、3人は2021年に最初の大麻製造ロボット「ジコ」を発売した。定価9万ドル(約1314万円)のこのロボットは、大麻濃縮物の一種ロジン、ディスティレート(蒸留エキス)といった強力なTHC濃縮液を針に充填し、ジョイント内部に注入する仕組みで、1時間に1000本を製造できる。また、翌年には1時間で6000本のベイプカートリッジを充填できる定価15万ドル(約2190万円)の「オムニフィラー」を投入。そして2024年、最も先進的で高価なロボットである「スターダスト」を送り出した。

パータンスキーにとって、NASAから大麻ロボットへと至る道は、ひらめきの瞬間というよりは火星探査車プロジェクトで学んだような、ゆっくりとした反復的なプロセスだったという。彼は今、ソーティング・ロボティクスには、連邦政府の資金を受けるハイテク企業と、スピード重視のテック企業が融合したカルチャーがあると考えている。

「もしも、NASAとフェイスブックが子どもを作ればこういう会社になるのかもしれない」とパータンスキーは真面目な顔で言うが、同社がこれらの巨大企業と比べて微々たる規模であることは承知のうえだ。「私たちは素早く製品を出荷し、何も壊さない。ロボットは高価だから壊してはいけないんだ」。

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編集=上田裕資

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