バブル警告派
著名な金融界の重鎮であるレイ・ダリオやジョー・ツァイは、ドットコムバブルの崩壊と類似させ、AI投資のペースが持続可能な成長を上回っていると警告している。Apollo Globalのトルステン・スロックは、現在の状況は1990年代のインターネットバブルを上回る可能性があると主張し、S&P500の上位10社がドットコムバブルのピーク時よりもファンダメンタルズ(基礎的条件)に対して割高になっていると指摘する。
これらの警告は傾聴に値するが、異なる種類のリスクを混同している。確かに、一部のAIスタートアップは過大評価されており、一部のアプリケーションは過剰に宣伝されている。しかし、このブームを牽引している中核的なインフラ投資は、実証された実用性と明確な需要の軌道に基づいている。
メタが示す、長期的な構築と現在の収益化の両立
メタのアプローチは、なぜ最も賢明な企業がこれをバブル領域として扱っていないかを例証している。同社は、現実世界でのAI利用における最良のプレーヤーの1つであり続けながら、未来に向けて最適化を進めている。AGI(汎用人工知能)の基礎を築くと同時に、何百万人もの人々が日常的に使用する製品にAIを組み込んでいるのだ。長期的な構築と現在の能力の収益化というこの二刀流のアプローチは、AIの持続力に対する自信を反映している。
米国時間8月21日。メタはウォール・ストリート・ジャーナルの報道を認め、リストラの中で新しいAI部門の採用を一時停止したことを明らかにした。しかし、これはメタがAIへの支出を大幅に削減する意図があることを示すものではない。数億ドル(数百億円)規模の買収に匹敵するオファーや人材採用を含む大規模な支出の後、単に「消化期間」に入っているだけなのだ。
AIチームへのさらなる投資を注ぎ込む前に、メタは人工超知能(ASI)のような新たなブレークスルーに進むべく、新たに獲得した人材を配置し、その能力を見極めるための時間が必要なのである。
バブルではなく次の基盤構築
アルトマンの一見矛盾に思える発言、すなわち、数兆ドル(数百兆円)規模のインフラ投資を計画しながらバブルについて警告するという行動は、実は完全に理にかなっている。彼は短期的な市場の過熱と長期的な技術変革を区別しているのだ。短期的な投資家の過度な興奮は、その根底にあるテクノロジーの根本的な重要性を否定するものではない。
AIセクターは、評価額や期待において投機的な過熱を経験しつつあるのかもしれない。そして確かに、AIの恩恵を受けてきたすべての銘柄が同じ品質を提供できるわけではない。しかし、その投機から最も恩恵を受ける立場にあるサム・アルトマンの言動は、私たちが単なるバブル以上の何かを目撃していることを示唆している。私たちが目にしているのは、次世代のコンピューティングプラットフォームを構築するという、費用がかかり混沌としたプロセスなのだ。そのプラットフォームは、その基盤に投じられた過熱気味の1ドル1ドルに見合う価値があると約束されている。
抜け目のない資金は、バブルでは早々に撤退するが、本物の技術革命ではインフラにさらに大きく賭けるのだ。OpenAIの5000億ドル(約74兆2500億円)への軌道は、私たちがどちらのカテゴリーにいるのかを示している。


