30U30

2025.08.25 11:00

最年少市長×カブトムシ社長、双子の両輪で秋田の未来を変革する(石田健佑・陽佑):30UNDER30

石田健佑(写真右)、石田陽佑|秋田県大館市長 、TOMUSHI代表取締役社長

石田健佑(写真右)、石田陽佑|秋田県大館市長 、TOMUSHI代表取締役社長

2025年8月25日発売のForbes JAPAN10月号は「30 UNDER 30」特集。30歳未満の次世代をけん引する若い才能に光を当てるアワードで『Forbes JAPAN』では18年より開催し、7年間で総計300人を選出してきた。今年も4つのカテゴリから30人の受賞者を選出。

BUSINESS&FINANCE&IMPACT&LOCAL部門で選出された石田兄弟。兄の健佑は秋田県大館市長、弟の陽佑はスタートアップTOMUSHIを率いる経営者として、それぞれ行政と民間で大館市を動かしている。ふたりが目指すのは「活気あふれる住みたくなるまち」の実現だ。


「ちゃんと時間通りに来るかなあ」。撮影当日、兄・石田健佑は少し心配そうにつぶやく。ほどなくして、弟の陽佑が「タクシーの運転手さんのおかげで間に合いました」とどこか得意げに現れる。そんなやりとりからも、双子それぞれの個性がにじみ出る。

今ふたりは、秋田県大館市の希望だ。健佑は、2024年に現職では全国最年少の27歳で大館市長に就任。陽佑はバイオスタートアップTOMUSHIの経営者として、日本はもとより世界からも注目を集める存在だ。別々の道を歩いているようだが、その出発点は同じ。大館への想いと、祖父母への感謝が原点だ。

ふたりは東京でITベンチャーを立ち上げたものの失敗し、19年、祖父母の住む大館に戻ってきた。再び起業を試みるが、資金がない。そんなふたりに助けの手を差し伸べたのが、先祖代々の土地を売ってまで資金を提供してくれた祖父母だった。

その思いに応えたふたりは、カブトムシの繁殖を行い、販売事業に成功。他の自治体から良い条件で移転の話がもち込まれたが、祖父母の地元への思いを聞き、2人は大館に残ることを決めた。そして「残るのなら、大館をみんなが住みたい街に変えよう」(陽佑)と決意。「陽佑は人の心を動かすカリスマ性がある。だから彼には起業家のロールモデルとなって民間を引っ張り、私はやる気のある人たちが集まる環境をつくる。せっかく双子なので、大館を元気にするための役割分担です」(健佑)。

健佑は、自分たちが祖父母から支援を得たように、高齢者の経験や知識、財産と若者の行動力をかけ合わせ、「子や孫世代と共に栄える大館」を目指す。

一方、陽佑は、キノコの菌床などの有機廃棄物をカブトムシのエサにして廃棄物処理と土壌改良を行い、全国に100カ所以上のプラントを構える。最近ではカブトムシを粉末化した製品が代替タンパクとして注目されるなど、「循環型の仕組みが海外でも求められている」と世界展開を見据えつつ、「大館市初の上場企業」を目指す。

大館は石田兄弟という両輪のリーダーが街の元気を加速させている。


※本誌をご購入いただいた皆様へ


【お詫びと訂正】2025年10月号52頁に掲載した石田陽佑氏(写真左)の英語表記に誤りがございました。
誤:YOSHUKE
正:YOSUKE
ご本人ならびに関係者の皆様、読者の皆様にご迷惑をおかけしましたことを、心よりお詫び申し上げます。


世界を変えうる30歳未満にフォーカスする企画「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」、8年目となる今年は30人を選出。これからの未来をつくる彼ら・彼女らが描く「希望」と「新しい未来」へ、ようこそ!

【30 UNDER 30 特集号が現在発売中 / 受賞者一覧を特設サイトにて公開中


いしだ・けんすけ◎1997年、秋田県大館市生まれ。双子の兄。高校卒業後、会社員などを経て、2019年に弟とTOMUSHIを創業。23年に大館市議に当選し、24年に大館市長に当選。現職では全国最年少市長。(写真右)

いしだ・ようすけ◎双子の弟。幼少期はムシキングに親しんだ。家出や高校中退と就職を経て青山学院大学へ進学。18年に大学を中退し、大館市に帰郷後の19年、TOMUSHIを設立。

写真左:シャツ36300円/ウィザード(ティーニー ランチTel:03-6812-9341)、パンツ57200円/スティーフ(スティーフショールームTel:03-6721-0549)、その他スタイリスト私物 写真右:ジャケット59400円/ヨンロクサン(HEMT PR Tel:03-6721-0882) 、シャツ49500円/シーク ヤブーティ(スタジオ ファブワークTel:03-6438-9575)、パンツ95700円/ディフォー(ノブオカホールディングスTel:03-6834-7131)、その他スタイリスト私物

文=古賀寛明 写真=帆足宗洋(AVGVST)スタイリング=鹿野巧真 ヘアメイク=MIKAMI YASUHIRO

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「30 UNDER 30」2025

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