燃え尽き(バーンアウト)は、今日の職場に蔓延する問題だ。従業員たちが圧倒され、疲れ果て、やる気をなくしていると感じるなか、多くの組織はウェルネス・プログラムやストレス管理トレーニング、瞑想アプリを提供することで対応している。こうした解決策は、善意によって提供されるものではあるが、根本的な原因を見逃していることが多い。
真実はこうだ。従業員の燃え尽きは個人の問題ではなく、職場環境によって大きく左右される、つまり、リーダーシップが果たす役割は大きい。チーム内の根本的な問題をリーダーが解決しなければ、燃え尽きは広がり続けるだろう。
では、燃え尽きが定着しない環境を作り出すために、リーダーはどうすればいいのだろうか?
燃え尽きは個人の問題ではない
燃え尽きを個人の問題と考えるのは簡単だ。従業員がストレスを感じていたり、生産性が低そうだったりすると、我々は「仕事量をうまく管理するにはどうしたらいいか」「レジリエンスを高めるにはどうしたらいいか」と尋ねがちだ。
個人での対処戦略は重要だが、この視点は、より大きな全体像を見落としている。燃え尽きは多くの場合、リーダーが対処しなければならない、職場の体系的な課題があることを示す症状なのだ。
問題は、重労働や長時間労働だけではない。燃え尽きは、期待されていることが不明確であること、サポート不足、不十分な自律性、ウェルビーイングを優先しない環境などから生じる。
こうした要素に注意を払わなければ、いくらウェルネス・プログラムを提供しても、燃え尽きが根付いてしまう。リーダーは、このような職場環境を形成する上で重要な役割を担っており、積極的に対処することで、燃え尽きのリスクを大幅に減らすことができる。
リーダーが燃え尽きを引き起こすケース
リーダーの指導方法は、たとえ意図的でなかったとしても、時として燃え尽きを助長することがある。例えば、従業員が常に過重労働に陥っている場合、リーダーが明確な優先順位を設定していなかったり、リソースを効果的かつバランスの取れた配分にしていなかったりしたことが原因であることが多い。
チームがサポートされていないと感じることは、コミュニケーションや信頼の崩壊を意味する。また、期待が漠然としていると、従業員は自分の役割や成功するための方法を理解するのに苦労し、フラストレーションがたまることになる。
リーダーシップとは、単に業績をアップすることではなく、人々が成長できる環境を作ることであると気づくことが重要だ。チームの能力やウェルビーイングを考慮せずに、結果だけに焦点を当てると、燃え尽きを起こしやすくなる。業績に関する絶え間ないプレッシャーにさらされると、回復に必要な時間が限られることが相まって、疲労と意欲の喪失を招く。リーダーはこのような状況を作り出すつもりはないかもしれないが、自覚がなければ、不注意にもこのような状況を助長してしまう可能性がある。
もう一つの要因は管理だ。リーダーが細かく管理したり、従業員に自主性を与えなかったりすると、無力感が生まれ、すぐに燃え尽きかねない。人は信頼され、自分の仕事を自分で管理する権限を与えられていると感じる必要がある。そうした信頼が得られない場合、結果として生じるストレスや主体性の欠如は、慢性的な燃え尽きにつながる可能性がある。



