主要な目標になりそうなスペースXの衛星コンステレーション
ウクライナの政府や軍、民間にきわめて重要なインターネット接続を提供してきた米スペースX社の巨大衛星コンステレーション「スターリンク」は、ロシアによる軌道上の破壊工作で主要な目標になるだろう。
ロシアのミサイルが民主制国家のウクライナに撃ち込まれ出してから、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の国連代表団は、スペースXの衛星を撃ち落とすとたびたび警告している。また、ロシア軍は戦闘機やミサイル、自爆型のドローン(無人機)などを用いてウクライナ各地でスターリンク端末を攻撃してきた。
グロスフェルドは、ウクライナを支援する西側の宇宙機をロシアが対衛星ミサイルで攻撃する可能性を警告しつつ、ロシアは衛星攻撃兵器(ASAT)の「複数の発射手段」に投資してきたとも説明する。
それでも、核を動力源とする宇宙機に起爆装置を仕込んだもののほうが、格段に強力な兵器になるというのがグロスフェルドの見方だ。
ロシアによる破壊工作強化の動きは、かつてのソ連のような超大国の地位を回復するというプーチンの大きな目標の一環である。ソ連は現在のロシアよりもはるかに広い領域を支配していた。
グロスフェルドは、1991年のソ連崩壊以降、ロシアの軍事力が衰退してきたように、宇宙大国としてのロシアの地位も低下してきたと語る。
宇宙での核破壊工作というロシアの壮大な戦略は、自国の小規模な衛星コンステレーションの一部を巻き添えで犠牲にしてでも、軌道上での米国の優位に大きな打撃を与えることを狙ったものだとグロスフェルドは説明する。
西側との宇宙大戦に備え武装するロシア
グロスフェルドはロシアについて、西側との第1次宇宙大戦に備えて武装を進めていることをすでに十分示してきたとも指摘する。
ロシアの軍隊が国境を越えてウクライナに攻め込む前、あるいはロシアから発射されたミサイルがウクライナの都市や大聖堂を炎に包む前に、ロシアの指揮官たちは電撃的な戦争で迅速に勝利を確実にすべく秘密作戦を主導していた。


