私たちの多くは、「休息」と「睡眠」を明確に分けて考えないだろう。だが、異なるストレス要因は、脳と体それぞれの異なるシステムを消耗させている。睡眠が重要であることは確かだが、それだけに注意していれば十分ということにはならない。
精神科医のアノーピンダー・シンはこれについて、次のように説明する。
「睡眠は身体的疲労を和らげ、認知機能を回復させるかもしれません。ですが、極度の感情的な疲労や決断疲れ、感覚過負荷(感覚器が過剰に刺激されることで、脳の情報処理機能などに問題が生じる状態)を完全に解消してくれるわけではありません」
十分な睡眠をとった時でも、疲れが取れなかったり、体がだるかったりするのはそのためだ。ニューヨークを拠点とする不安治療などが専門のセラピスト、臨床ソーシャルワーカー(LCSW)のブリ―・スコラロは、次のような例を挙げている。
「クライアントの中に、『夜は8時間の睡眠をとっているのに、それでも疲労困憊しているのです』という人がいました。そういった人たちに不足しているのは、睡眠ではなく休息です」
「夜はデジタル機器を使わない、マインドフルネス・ブレイク(休憩)をとる、誠実な対話をするといった小さなことを実践し、精神的、感覚的、感情的な休息をとるようにしてもらったところ、疲労感が軽減しただけでなく、活力を感じられるようになったということでした」
パフォーマンス生理学者でアメリカスポーツ医学会(ACSM)のフェロー、マーク・コバックスは休息について、ストレス要因や刺激、気持ちを散漫にするもの、要求などから意図的に自分を切り離すことで、心と体の一つの側面だけでなく、その人全体に充電をし直すことだと述べている。
「7つの休息」をとる方法
内科医で研究者でもあるソーンドラ・ダルトンスミスは、著書『Sacred Rest』で、私たちがそれぞれのニーズに応じて必要とする再充電のための7種類の休息とそのとり方について、説明している。以下、それらの実践方法を紹介する。
1. 身体的休息
これには能動的、受動的な休息の2つのタイプがある。受動的な休息には、身体的な活動を最低限に抑えること(睡眠をとる、横になる、じっとしていることなど)が含まれる。そうしている間に体は十分にリラックスし、自ら披露を回復させることができる。
いっぽう、能動的な休息とは、穏やかな動きを伴うものだ(ヨガやウォーキング、ストレッチなど)。コバックス医師によると、血流量を増加させ、緊張を緩め、回復の速度を速めてくれる。



