宇宙

2025.08.22 17:00

肉眼で見える銀河系で最古の星「カシオペヤ座ミュー星」、驚異の127億歳

太陽系近傍で見つかっている中で最も古い恒星の1つで、地球から190.1光年の距離にある恒星HD140283を描いたイラスト(NASA, ESA, and A. Feild and F. Summers (STScI))

米ペンシルベニア州立大学の天文学者で、米宇宙望遠鏡科学研究所(STScI)に所属していたハワード・ボンドは電話取材に応じ、現在は銀河系の一般的な領域に存在するMu Cas Aは、かつては星団に属していた可能性があるが、もしそうならこの星団はすでに散逸していると語った。

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ボンドによると、Mu Cas Aは過去に2~3の小型銀河に属していて、これらが衝突し合って銀河系を形成した可能性が高い。

十数年前、銀河系最古の星が宇宙自体より古い可能性があるように思われることが発端となり、Mu Cas Aのような恒星が論争の種になった。

その代表例が、メトシェラ星とも呼ばれている恒星「HD140283」だ。

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太陽系近傍で最も古い星HD140283を捉えた、全天写真星図データベースのデジタイズド・スカイ・サーベイ(DSS)の画像(Digitized Sky Survey (DSS), STScI/AURA, Palomar/Caltech, and UKSTU/AAO)
太陽系近傍で最も古い星HD140283を捉えた、全天写真星図データベースのデジタイズド・スカイ・サーベイ(DSS)の画像(Digitized Sky Survey (DSS), STScI/AURA, Palomar/Caltech, and UKSTU/AAO)

恒星進化の基準天体としてよく知られているHD140283は特異な化学組成を持ち、太陽系の近くにあって星間赤化がないことから、種族II星(金属量が少なくてハローに分布する古い星)の興味深い一例となっていると、2024年に天文学誌Astronomy & Astrophysicsに掲載された論文で言及されている。

NASAによると、2000年に遡る観測データによる当初の推定では、HD140283の年齢を約160億年としていた。だが、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)を用いた新たな年齢推定では、測定誤差の範囲を減らした結果、HD140283の年齢を宇宙年齢と重なるようにすることができたという。

長距離で高速移動の軌道

約190光年の距離にあるHD140283の軌道をたどると、銀河系を取り巻く太古の恒星からなるハロー領域から銀河面を通って下方に移動していると、NASAは説明している。

ハロー領域の星は集合的に、銀河系に最初から存在する恒星群に属しており、後に銀河円盤内で形成された太陽のような星よりも古い種族となっていると、NASAは続けている。

ボンドによると、HD140283は現在もなお、年齢が確定されている最古級の恒星の1つだ。知られている中で最も古いとは言えないが、それでも地球に非常に近くにあって比較的明るい(約7等級)ため、年齢を測定するには最適の星の1つだと、ボンドは話した。

双眼鏡で見えるこのメトシェラ星は現在の年齢が約123億年で、現在の宇宙年齢より少なくとも15億年若いと考えられている。


Mu Cas Aについて

進化の終末期にあるMu Cas Aは、水素を燃焼する星として主系列にとどまる期間があと10億年ほどと予想されている。Mu Cas Aの赤色巨星期が始まると、太陽に比べて約3分の1長く存続することになる。太陽はあと60億年ほどで主系列から離れると予測されている。

forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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