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2025.08.22 10:30

Nothingは「本当に必要なAI」を追求する、カール・ペイCEOインタビュー

Nothing CEOのカール・ペイ氏にインタビューした

Headphone(1)は日本での販売価格が税込3万9800円となる。海外の販売価格である299ポンド(約5万9000円)、299ドル(約4万4000円)よりもかなり手頃だ。ペイ氏に聞いたところ「ユーザーに魅力を感じてもらえる価格を提案して、Nothing初のヘッドホンを日本で成功させたい」という強い思いを込めて価格を決めたという。

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コミュニティとの共創を加速する

Nothingには、創業後から築き上げてきた「コミュニティ」とのコラボレーションを大事にする独自の企業文化がある。公式ウェブサイトで運営するフォーラム形式の「Nothing Community」、Discordの公式サーバーでアクティブに活動するメンバーから、公式SNSのフォロワーを含めるとその数は300万人を超える。

オンラインのNothing Community。新製品に関連する話題も大いに盛り上がっている
オンラインのNothing Community。新製品に関連する話題も大いに盛り上がっている

ペイ氏は、ITデジタルの世界で過去40年間に起きた最も大きな変化は「コンシューマーインターネットの台頭」だと述べ、これにより「誰もが専門家になれる時代」が来たと主張する。

「こうした環境の変化に合わせて、会社のあり方も変えていかなければならないと考えています。将来的にNothingはコミュニティといっしょにつくり上げる会社を目指していますが、これはまだ誰も挑戦していないことなので、一歩ずつ進めていく必要があります」

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Nothingは2021年の創業直後にクラウドファンディング型のコミュニティ投資ラウンドを実施し、約150万ドル(2億1千万円以上)の資金を調達した。その後も追加のコミュニティ投資ラウンドを実施した結果、これまでに世界中で約8000人の個人投資家が参加してきた。同社の取締役会に「コミュニティ代表」のオブザーバー席を設け、投資に参加したコミュニティの声を企業の経営やものづくりに活かせる仕組みを導入したこともユニークだ。

「もし今後、Nothingが大きく成功すれば、私たちは傲慢になるかもしれません。ユーザーが実際に何を考えているかを常に思い出させてくれる存在があることで、良好な距離感覚が保てる」のだとペイ氏は試みの意義を語る。ユーザーの期待に寄り添いながら、オープンな発想で斬新なプロダクトを生み出すNothingの今後に注目したい。

連載:デジタル・トレンド・ハンズオン
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