NothingがスマートデバイスのOSを再定義する
Nothingのスマートフォンとって、AIは製品の「主役」ではなく「調味料(ingredient)のようなもの」であるペイ氏は例える。ペイ氏は「そもそも私はむやみに『AI』という言葉を使うのがあまり好きではない」のだとしながら、一方ではその技術が今後長期的に見るとスマートフォンにとってポジティブな影響をもたらすものになり得ることも認めている。ユーザーの生活をより豊かなものにするため、スマートフォンなどデバイスをつくるメーカーは意味あるAIの使い方を提案するべきなのだと、ペイ氏は強調している。
そして一方では、スマートフォンのAI機能が大きな転換期を迎えつつあり、AIが今後のスマートデバイスの使い方を完全に変える大きな長期的な機会に対して、Nothingがどのように向き合おうとしているのか。ペイ氏は自身の視点を語った。
「スマートフォンには膨大なコンテキスト(文脈情報)が含まれています。テクノロジーが成熟してきたことにより、デバイスがコンテキストを理解しながら、ユーザーにパーソナライズされた体験を提供するOSを構築できる時代が訪れると考えています。端末がユーザーに代わってスマートにタスクを処理してくれるので、ユーザーは退屈なこと時間をかけることなく、人生で本当に大切なことに時間を割くことができるようになります」
自律的に支援するスマートデバイスをつくる機会はすべての企業にあるとしながら、ペイ氏は「Nothingの優位性」を次のように語る。
「Nothingはこの分野で唯一のスタートアップです。規模の面ではエンジニアリングリソースが少ないなど多くの不利な点もありますが、組織的にコンパクトな企業であるため、身軽さを活かして迅速に動ける利点もあります。また足かせになるような大きな収益モデルもないため、変化に対して柔軟に適応することもできます。何より、Nothingはユーザーコミュニティと、とてもユニークで親密な関係を築いてきました。コミュニティからいただくフィードバックを糧にして、製品やサービスに反映させるという好循環があります。これらのアドバンテージを活かして、Nothingが今後長期的にOSを再定義できる大きな機会があると信じています」


