スマートフォンに関連するAIテクノロジーについても、ペイ氏は「消費者が本当に受け入れたとは思えない」と続ける。
「アップルはApple Intelligence、グーグルもGeminiを提供していますが、私の目にはいま最も多くの方々が関心を示しているAIサービスはChatGPTであるように見えます。いわゆる『スマートフォンのAI』が便利なものなのか、一般の方々は慎重に見極めようとしています」
だからこそ、Nothingが取るべき姿勢があるとペイ氏は説く。
「Apple Intelligenceは昨年、発表された時にユーザーのライフスタイルを大きく変えるものになると宣言しましたが、実際にはまだそれを実現できていません。Nothingはこれとは反対のアプローチを取るべきだと考えています。つまり、スマートフォンのAIについて大きな風呂敷を広げずに、本当に役立つものから順に、ユーザーに提供しながら信頼を勝ち取ることです」
このようなペイ氏のポリシーに基づき、NothingはAI系テクノロジーがベースではあるものの、よりシンプルで実用的な機能をPhone(3)に載せた。
ホーム画面を下からスワイプして端末内の連絡先、写真、ファイルなどをすばやく検索できる「Essentialサーチ」、デバイスを裏返して側面のEssential Keyを長押しするだけで会議や会話の文字起こしと要約を自動で開始する「Flip to Record」、そしてアイデアやメモ、コンテンツの保存と整理をAIがサポートする「Essential Space」などがその代表例だ。
Essential Spaceは「Phone(3a)」から搭載されている機能だ。今年4月の端末発売以来、アップデートにより少しずつ機能拡充も図っている。ペイ氏は「ローンチ当初の週間アクティブユーザー(WAU)は約20%でした。現在は約33%にまで拡大した」と語る。“スマホのAI”機能に対してNothingのファンはポジティブであり、機能を提供するメーカーとしてもファンの関心を捉えたまま、少しずつ前進できていることをペイ氏はアピールする。


