2025年8月25日発売のForbes JAPAN10月号は「30 UNDER 30」特集。30歳未満の次世代をけん引する若い才能に光を当てるアワードで『Forbes JAPAN』では18年より開催し、7年間で総計300人を選出してきた。
今年も4つのカテゴリから30人の受賞者を選出。ENTERTAINMENT&SPORTS部門の受賞者のひとりが音楽家の原口沙輔だ。
就学前からネット上で音楽を探し、遊び心で作曲を始めた原口沙輔。デジタルネイティブ世代の創造力は、まだまだその限界が見えない。
早熟の音楽家がいよいよ本領を発揮しようとしている。2003年生まれの原口沙輔は現在22歳。シンガーソングライター、プロデューサー、ボカロPなどさまざまな肩書で活躍し、作曲家としても引く手あまたの存在だ。2021年の東京 2020 パラリンピック競技大会では閉会式のオープニング映像や音楽制作を担当し、その才能を国内外に知らしめた。
幼いころから音楽やDJ機材に興味をもち、5歳から作曲を始めた。14歳の時に披露したフィンガードラムの路上パフォーマンスが評判を呼び、15歳でSASUKEとしてメジャーデビュー。現役中学生トラックメイカーとして脚光を浴びた。J-POPのフィールドで華々しく活躍の場を広げた10代を、原口は「準備期間のような感じだった」と振り返る。
「とりあえず目の前に来たものをやってみようという時期だったので、良くも悪くも、それがそのまま世に出ている状態だったと思います。修業のようでした。早くから仕事で無茶な依頼があったり、慣れないことをやってみたりもしていたので、技術も心も鍛えられました」
その多彩な才能は多方面から評価を集めたが、原口はSASUKE名義での活動を続けることを選ばなかった。メジャーレーベルとの契約を解消して21年からフリーとなり、23年、20歳の誕生日に現名義に改称した。このあと発表した『アセトン』、『スクリーンⅡ』という2枚のアルバムは先鋭的な電子音楽の作品だ。
「楽しまなければという気持ちで本気でポップスをやっていたんですが、長くは続かなかったですね。自分で聴き返して『果たしてこれでいいのか』と思うようになった。この感じでは続けていけないかもと思って、無理をしないようになりました」
この年に初めて投稿したボーカロイド楽曲「人マニア」の目まぐるしく独創的な曲調が評判を呼び、多くのVTuberが「歌ってみた」を投稿するなどネット発のヒットとなった。
「『人マニア』は自分のバランスを試したような曲で。僕が無理せずに音楽で生きていくことができるかは、これの結果次第だと思っていました」



