経済

2025.08.25 09:15

建設とIT業界を襲う人手不足の正体と行方

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企業の人手不足は深刻な高止まりが続いている。帝国データバンクによると、2025年7月時点における、正社員の不足を感じている企業は50.8%に上った。7月としては3年連続で半数を上回っており、前年同月から0.2ポイント低下したものの、依然として高い水準のままだ。

一方、非正社員における人手不足は28.7%で、わずかながら前年同月から低下し2年連続で3割を下回った。

正社員の人手不足の割合を業種別にみてみると、「建設」が68.1%でトップ。「人手不足などが原因となって契約が不成立となるケースが増えてきている。求人は進めているが、今後が心配」といった不安の声が多く聞かれる。「残業規制などで社員の労働時間が減っただけでなく、猛暑によって作業効率が悪くなっている」といった、近年の猛暑の影響も受けているという。

次いで、生成AIをはじめとするIT投資などの需要の多い「情報サービス」が67.6%、「メンテナンス・警備・検査」が66.7%、「運輸・倉庫」が63.9%など、6業種で6割を上回る結果となった。

また、コロナ以前から人手不足が深刻だった「旅館・ホテル」では、人手不足割合が大きく改善している。非正社員の就業者数がコロナ禍以前の水準まで回復したことや、DXやスポットワークの普及による生産性向上が背景として考えられる。

改善している業種がある一方で、依然として高水準で推移する「建設」や「情報サービス」は、作業内容や労働環境の改善、猛暑対策など、一人ひとりの生産性を向上させつつ、さまざまな手段で人材確保に努める必要がありそうだ。

出典:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2025年7月)」より

文=飯島範久

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