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2025.08.31 23:59

シームレスなデジタル体験を不動産に持ち込み、日本の都市の可能性を広げる──東通グループが仕掛けるProptech戦略の真意

(写真右)東通グループ 執行役員 桜井吉男 (写真左)リンクジャパン CEO 河千泰進一

(写真右)東通グループ 執行役員 桜井吉男 (写真左)リンクジャパン CEO 河千泰進一

2025年、東通グループが業界の常識を変えるプロジェクト「不動産をもっと自由に大作戦」を始動させた。その核心の一翼を担うパートナーの一社が、IoT技術で空間体験を革新するリンクジャパンだ。

この挑戦を率いるのは、奇しくもデジタルとリアル、そして国際的なキャリアを持つふたりのキーパーソン。ByteDance(TikTok運営)でシームレスなコミュニケーションツール「Lark」の日本展開を率いた経験を持つ、東通グループ執行役員の桜井吉男。そして、日中両国でのキャリアを活かし、次世代IoTデバイスを生み出し続けるリンクジャパンCEOの河千泰進一だ。

東通グループが描く「育てていく不動産」というビジョン。無形(デジタル)と有形(不動産)の世界を知る両社の協業は、日本の不動産業界にどんな変革をもたらすのか。ふたりの対話から、その未来を探る。


グローバルで進む「都市のOS化」──日本は50年遅れになるか

──近年、Proptech(Property×Technology、以下、プロップテック)という言葉をよく耳にします。従来の不動産テックが業界内の効率化に留まっていたのに対し、エンドユーザーの視点で既存サービスを見直し、「Property」の概念そのものを再定義する動きとして注目されている印象です。このプロップテックやIoTの進化で、不動産やまちづくりのあり方が大きく変わりつつありますが、日中でビジネスを推進してきたおふたりから見た、グローバルでの業界の動きについて教えていただけますか。

東通グループ 桜井吉男(以下、桜井):グローバルの視点で捉えると、特に欧米、中国、シンガポールなどで「都市のOS化」という潮流が注目されています。これは街そのものをデータドリブンなサービスプラットフォーム化することで、交通、エネルギー、防災、さらにコミュニティなど、あらゆる要素をセンサーやAIを用いて統合し、住民のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を高める設計を行政と民間が連携して進めているんです。
 
前職でLarkという次世代ビジネスツールの日本展開に携わっていましたが、その開発フィロソフィーがまさに「シームレス」でした。チャット、ビデオ会議、文書管理、ワークフロー──これらがすべてひとつのプラットフォームで統合され、バラバラだった業務ツールを使い分ける必要がない。まちづくりでも同様で、我々は不動産の会社として、住宅から街全体まで、シームレスな都市OS・プラットフォームをつくっていく必要があると考えています。

リンクジャパン 河千泰進一(以下、河千泰):確かにシームレスな連携が重要ですよね。海外の動きを見ると、テスラが無人タクシーを始めた一方で、家庭のエネルギー事業にも注力し、移動と居住という本来は別軸だったライフスタイルの領域をデータとエネルギーの観点で統合しようとしています。つまり、クルマも家も、エネルギーも一つのOS上で管理される世界を目指しているわけです。また、中国のスマートホーム企業は車と住宅の連携を進めていて、住宅内外と住人をつなげるエコシステムを構築しています。オフィスでも、センサー、照明、空調をうまくリンクして省エネを実現する取り組みが主流になっています。

桜井:しかし日本は、率直に申し上げると、 この分野において大きく遅れをとっているのが実情です。30年どころか、このままでいくと50年の遅れになってしまうんじゃないかと危機感を持っています。特に我々が携わっている不動産業界は伝統的なアナログ業界で、各社が独自ノウハウに固執している。でも、もし日本の不動産会社が皆、共通したモジュールを持って開発したら、かつ行政の後押しがあったら、圧倒的に変わるでしょう。SF映画で観る世界はもうすぐそこにある。でもライドシェアの例のように、結局ほぼほぼ何も進んでおらず、全部後手後手になってしまっているのが現実です。

エンドユーザー視点で不動産を再定義する「プロップテック3.0」の時代

桜井: 我々が掲げる業界変革プロジェクト「不動産をもっと自由に大作戦」の根底にあるのは、近年注目されている「プロップテック」の思想です。これまでの不動産テックは業界内の効率化に留まっていましたが、プロップテックは消費者や利用する側であるエンドユーザーの視点で既存のサービスや商品を見直し、より幅広い領域で「Property」を再定義するものなんです。
 
現在はプロップテック3.0(註1)の時代と言われ、2.0までが不動産のデジタル化期とされていたのに対して、課題解決のための細分化された市場の形成期に入り始めているとされています。結果、ビッグデータ、AR、VR、AIなどによって不動産を「取引」や「管理」の対象から、より体験価値の提供や運用最適化の対象へと転換させつつあり、不動産セクターのあり方が大きく変わろうとしているのです。

ここで言う「細分化された市場」とは、単にエンドユーザー向けのサービスだけでなく、開発 → PM → 金融機関 → 投資家 という不動産のバリューチェーン全体における“垂直的な専門市場”のことです。これまでバラバラだった各プロセスが、テクノロジーによってシームレスにつながり、業界内プレイヤーの役割そのものが再定義されつつあります。東通グループはまさにこの垂直連携型構造を設計・運用できる立場にあり、プロップテック3.0の本質と強く接続しようとしているのです。

我々の5つの作戦──「資産運用を自由に!」「不動産投資を自由に!」「宿泊体験を自由に!」「賃貸をもっと自由に!」「上質な暮らしを自由に!」は、まさにこのプロップテック3.0の発想から生まれています。

例えば、「資産運用を自由に!」では、IoTやAIを活用したリアルタイムな物件データ収集・分析や、スマート契約による運用オペレーションの効率化によって、アセットマネジメント業務の精度と透明性を格段に高めています。「不動産投資を自由に!」では、AIによるエリア分析や価格予測モデルを活用し、物件ごとの収益性やリスクを可視化。これにより、投資判断をデータドリブンで行うことが可能となり、リスクヘッジと最適なポートフォリオ形成がより柔軟に実現できるようになりました。「宿泊体験を自由に!」では、無人運営・スマートロックなどのテクノロジーを活用し、チェックインから滞在までをストレスなく完結させる新しい宿泊体験を提供しています。「賃貸をもっと自由に!」では、アプリでの契約・決済、入居手続きのオンライン化に加え、IoTを活用した空調や照明の自動制御により、快適さと効率性を兼ね備えた賃貸スタイルを実現。そして「上質な暮らしを自由に!」では、UXを重視した空間設計により、住むことそのものに喜びを感じられるパーソナライズされた暮らしを提案します。これらの取り組みは、単なる機能改善にとどまらず、不動産の枠組みや価値の捉え方を根本から見直し、「暮らしの再構築」へとつながる東通ならではのプロジェクトです。

これまでの日本での都市開発は、効率性や経済性を中心に設計されてきました。例えば、ここを開発するとなった時に効率よく、かつ経済的に考えて設計するのが都市という定義だった。でも、これからの世の中では、AIやIoTの進化によって、都市と人間の関係性の再設計がどんどん可能になってくるんです。

我々は、都市は人と人、人と自然をつなげるためのインターフェースであるべきだと考えています。

特に日本は50年後に人口が9,000万人を切るという状況になることを考えると、使いやすさ、心地の良さ、誇れるような住まい、そういった要素がこれからもっと重要になってくるはずです。

東通グループ 執行役員 桜井吉男
東通グループ 執行役員 桜井吉男

「建てて貸して終わり」から「住んでからがスタート」へ

──東通グループとリンクジャパンが協業すれば、新しい不動産、住まいのあり方が再定義されそうですね。

桜井: 我々とリンクジャパンさんの協業により、すでに建築が始まって着工しているプロジェクトもあります。北品川の大型ペット共存型プロジェクトや四谷坂町でのオーダーメイド型賃貸マンションなど、「賃貸をもっと自由に!大作戦」の具体例としてIoT機能を導入したプロジェクトが進行中です。
 
ただ、単一的なIoTを提供するのはほかの企業でもできることです。我々が今後目指しているのは、従来の「建てて貸して終わり」から脱却し、「育てていく不動産」をつくること。住んでいただいてから、そこからがスタートという世界観を大切にしています。
 
例えば、冬の寒い時期に家に着く15分前ぐらいに車の中で暖房をつけたり、お風呂を沸かしたりする。最近の暑い夏場では、リンクジャパンさんのプロダクトを使って、家の近くまで来ると自動的にクーラーが付くようになっています。GPS連動での空調自動制御ですね。こういった機能が「育てていく不動産」の一例です。
 
我々は、「不動産をもっと自由に大作戦」でも掲げている通り、「カスタマイズ」を大事にしています。日本では賃貸でカスタマイズする文化がないんですが、欧米では普通に行われている。間取りを自由に変えられるカスタマイズを推進し、住んでから進化していく不動産を目指していきたいのです。
 
河千泰: 不動産業界は従来、若干保守的な部分もあって、1%のリスクでもあると、99%のメリットがあってもやらないということがよくありました。結果的に99人がなんのメリットも受けられないという状況になってしまう。でも東通グループさんはすごい勢いがある会社で、新しいチャレンジをどんどんしていく会社だと感じています。そこに、私たちも期待をしています。
 
我々は社名にあるように「リンク」、いろんなものを他社の製品も含めて、従来通信できない機器を全部繋げるのが大きなミッションです。例えば、鍵メーカーとシャッターメーカーを連携させて、帰宅時に鍵を開けた瞬間に検知してシャッターが上がるといった、ワンストップの連携を実現しています。従来、異なる業界のメーカー同士は接点がないため、我々が間に入って連携することで初めて実現できるんです。

アナログに命を吹き込む──椅子も冷蔵庫もスマート化

桜井: 街全体のデータドリブンなプラットフォーム化は、究極的には「負の解消」につながります。各種社会課題の解決です。これは、アナログのものに命を吹き込んでいく、データを吹き込んでいくことで実現されるはずです。
 
具体的なプロセスを説明すると、例えば椅子を電気化し、マイクロチップを埋め込むことでデータを収集できるようになります。すると、座る人の腰の位置や痛みの箇所、力加減などを把握し、座った瞬間に最適な座り心地に自動調整してくれるスマートな椅子に変わるんです。
 
海外ではすでにスマート冷蔵庫が実用化されており、食材の在庫管理から残り物でつくれるレシピの提案まで自動で行ってくれます。これが将来的に料理ロボットと連携すれば、何も考えずに快適な椅子に座って待っているだけで食事ができる。これがプロパティとテクノロジーの融合によって実現可能な、未来の姿です。
 
AIを活用すれば、言語の壁や道案内などの課題解消も可能でしょう。最近暑いですよね。35度を超えたら自動的にミストが出るシステムなど、物理的な環境制御も含めて、そういったことができれば街は変わります。これも街全体がデータドリブンなサービスプラットフォームになっているからこそ実現できることです。
 
河千泰: 我々は当初、ITリテラシーの高い方向けにコンシューマー向けデバイスを開発していましたが、実際には8割、9割の方が使いこなせないことがわかりました。最高のユーザビリティを提供するには、不動産にビルドインする必要があります。
 
例えばカメラの場合、後付けだとテーブルに置くしかなく、ペットが倒してしまうといった問題が起きます。しかし天井に最初から設置すれば、そうした問題は解決できる。また、異なるメーカーの製品を個別に購入するとデータ管理が煩雑になりますが、ビルドインなら最初から統合されており、キャッシュレス決済のようにワンストップで利用できます。こうした挑戦は、データドリブンなサービスプラットフォームとしていくことを前提とした開発だからこそ、できることではないかと。

リンクジャパン CEO 河千泰進一
リンクジャパン CEO 河千泰進一

プロップテックのパイオニアとして業界に風穴を

──最後に、今後の展望についてお聞かせください。
 
河千泰: 現在の不動産業界は、10年前の自動車業界とカーナビの関係に似ていると思います。昔の車は、カーナビはスペースを開けてあげるから、自分で買ってオプションでやってくださいという感じでした。自分で買ってオプションでつけたカーナビもナビの機能しかない。でも最近の車は初めから全部入っていて、ナビの機能だけでなくいろんな音楽、配線を全部つなげて車のいろんな機能の制御も全部そこに入っている。住宅もそうなっていく時代になると思います。
 
さらにIoTに加えてAIとロボットの活用により、将来的には誰もがマイアシスタントを持てる時代を実現したいと考えています。VRとIoTの組み合わせにより、内覧から契約まで完全自動化も可能です。鍵データの自動送信、予約システム、室温調整、そのまま契約申し込みまで一連の流れをシームレスに提供できます。既に内見機能は実装済みです。
 
桜井: プロップテックは単なるIoT活用だけではありません。Web3.0時代が本格化すれば、不動産のトークン化(註2)が進められ、まちづくりの民主化を後押しします。従来アクセスが限られていたリアルアセットをより多くの人が関われる手段とし、まちづくりを民営化する武器として捉えています。
 
例えば、長期住居者に対するポイント付与をトークンに変換することで、まちづくりに住民が直接参加できる形を実現できます。投資だけでなく、リアルアセットの流動性に新たな命を吹き込んでいく構想を持っています。
 
我々は5年後には今の3倍の運用資金の3,000億円という目標を抱えています。10年後に生き残るためには、どんどん世の中の潮流に合わせていかなければならない。その着地どころは結局プロップテックなんです。総合不動産会社として、新しい領域へのチャレンジを続けていく中で、プロップテックのパイオニアとして、業界に風穴を開けていきたいと思います。

註1:プロップテック(PropTech)
不動産とテクノロジーを掛け合わせた概念で、「1.0」は紙ベースの業務をデジタルに置き換えた初期の段階、「2.0」はインターネットやクラウドを活用して業務効率化・可視化が進んだ時期、そして現在の「3.0」は、AIやブロックチェーンなどを活用し、不動産の価値そのものや体験設計を再定義する転換期にあるとされている。
 
註2:不動産のトークン化
不動産資産をブロックチェーン上でデジタルトークン(NFT)に変換するプロセスであり、企業や土地所有者が価格に影響を与えることなく不動産の分売を可能にする。これらの資産はスマートコントラクトを通じて安全に取引・移転できるため、透明性が確保され、仲介業者が減少すると言われている。

東通グループ
https://www.totsu-group.jp 


さくらい・よしお◎東通グループ執行役員。北京の大学への留学を経て、中国・日本において起業・会社経営を行う。国際貿易、越境EC、OtoO(Online to Offline)ビジネス、コンサルタント事業、その後FinTech、InsurTechなど、20年以上にわたり日中ビジネスに従事。2022年2月にLark Japan株式会社代表取締役社長に就任し、ByteDanceが開発した次世代コラボレーションツール「Lark」の日本市場展開を主導。シームレスなデジタル体験の価値を深く理解し、現在は東通グループにて無形なデジタル世界の知見を不動産という有形な世界に応用する挑戦を行っている。

かちやす・しんいち◎リンクジャパン代表取締役。中国で生まれ、16歳の時に家族と日本に移住。プログラミングを学んだ後、独学で通訳の国家試験に合格。日中政府会談・交流の通訳を担当する。その後、飲食店の経営や医療ツーリズム事業、Eコマース事業の創業を経て、IoT時代の到来を予測し2014年にスマートハウスデバイスに特化したリンクジャパンを創業。「面白い製品よりも、必要とされる製品を提供」をコンセプトに、開発に取り組んでいる。

Promoted by 東通グループ | text & edited by Miki Chigira | photographs by Daichi Saito

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連載

Property of Liberty:不動産自由化への道