中国の玩具メーカー、ポップマート・インターナショナル・グループの創業者でビリオネアの王寧(ワン・ニン)は、同社のぬいぐるみ「ラブブ」の世界的な人気により上半期の利益がほぼ400%急増したことを受け、今年の売上高が容易に300億元(約6160億円)に達する見通しだと語った。
現在38歳の会長兼CEOのワンは、8月19日に発表した中間決算に関するライブ配信の会議で、この見通しを示した。香港市場に上場するポップマートは、上半期の売上高が139億元(約2860億円)に達し、前年同期比204.4%の増加だったと取引所への提出書類で報告している。利益は前年比397%増の46億元(約945億円)となった。
香港拠点のエバーブライト・セキュリティーズの証券ストラテジストのケニー・エンは、今回の中間決算の結果が「ポップマートの急拡大する時価総額の裏づけになる」とWeChatでコメントした。同社の株価は、20日の午前11時半の時点で前日から6%以上上昇し、年初来の上昇率は227%に達した。ポップマートの持ち株から資産を築いたワンは、フォーブスのリアルタイム・ビリオネアリストによると、中国で9番目の富豪となっており、保有資産は249億ドル(約3兆6700億円)に達している。これまで彼は中国で10位の富豪だった。
ポップマートが7月に発表した予測を大きく上回る力強い業績は、ラブブが急速にファンを増やしていることに後押しされている。尖った耳やギザギザの歯、いたずらっぽい笑みを特徴とするウサギ風のこのぬいぐるみは、世界中の店舗で飛ぶように売れ、リアーナやキム・カーダシアン、Blackpinkのリサなどのセレブたちも収集している。
ラブブを中心とするポップマートの「モンスターズ」シリーズは、上半期の売上の主力となり、総収益の3分の1以上を占めたと、取引所への提出書類には記載されている。「ラブブは、世界的なIP(知的財産)としての地位に上り詰め、2025年上半期に世界で最も人気のあるIPの1つになった」と同社は記している。
ワンは、7月の国営新華社通信のインタビューで、海外での成長がさらに加速すると予測し、「今年は海外市場からの売上が中国市場を上回る可能性が高い」と述べていた。中間決算によると、ポップマートの上半期の中国市場の売上は総収益の60%を占めていた。また、米国を含むアメリカ大陸地域は最も急成長しており、上半期の売上は前年同期比1000%以上増の23億元(約472億円)だった。
同社の経営陣はカンファレンスコールにおいて、今年中に中東や中欧に新たな店舗を開設し、海外店舗数を現在の140から200に拡大する計画を明らかにした。



