「日本人」というポテンシャル
頻繁に米国に飛び、現地で大物アーティストとスタジオに入って曲づくりに没頭する毎日。ラテン系のシンガーと曲をつくった際は、自分のトラックにスペイン語が乗ることで、また新たなノリが引き出されたという。多様な国の言語が、Koshyのビートの魅力を多面的に引き出しているのだ。
「僕はあまり英語は喋れないけど、音で会話ができる」と語る彼。米国で気づいた、日本との大きな違いについても教えてくれた。「向こうは、とにかく曲づくりのスピードが速い。多少粗くても、その場で次々とつくっていく。そして、なぜか“鳴り”がすごいんです。低音も太いし、選ぶ音のセンスが違う。音響機器の問題というより、何か根本から感覚が違うんですよね」。そうした感覚の違いの背景には、米国社会特有の空気もあるのではないかと感じている。
「初めはカルチャーショックでした。特に(ブラックカルチャーの中心地である)アトランタでは、黒人の人たちがスマホをもつみたいな感覚で、ポケットに銃を入れてスタジオに来るので緊張感があります」。
それでもKoshyは、日本のアーティストが持つポテンシャルも強く感じている。「日本人が世界で成功するためには、“日本ならではのオリジナリティ”が鍵になると思っています。海外に出て気づいたのは、日本の音楽の唯一無二性。欧米っぽいフロウや発音で勝負してもかなわない。逆に、日本語のリズムや響きを生かしたほうが絶対に強い。皆自分たちの音楽にちょっと飽きてる部分があるから、違うものを求めてるんです。だから、日本の人は、もっと自然体でやりたいようにやったほうがいい」。
実際に現地で交流し気づいた、言葉の重みが伝わってくる。表に出る態度は控えめだが、「いつかリアーナのような大物アーティストと仕事ができたら」とこぼす彼の視線は、野心に満ちていた。
コーシー◎1996年生まれ。高校生のときに聴いたKOHHがきっかけでビート制作を始める。2020年から本格的にプロデューサーとして活動。千葉雄喜、Watson、NENEらのアルバムをプロデュースする。24年には「チーム友達」や「Mamushi」がバイラルヒットし世界から注目を浴びる。



