暗号資産

2025.08.22 09:30

世界の上場152社が16兆円分のビットコイン保有、「暗号資産トレジャリー」の勝者は?

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世界中の上場企業が次々に暗号資産を自社の資産に組み込み始めている。その結果、取引や保管を担う金融機関・サービス事業者に巨額の手数料が流れ込み、新たな収益源として急成長している。

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企業の暗号資産購入ブームの裏で手数料ビジネスが活況

上場企業が暗号資産をバランスシートに計上する動きが過去最大に達している。名目は保有資産の分散・インフレ対策・投資家誘引だが、本当の狙いは株価を押し上げることにある。ここ数カ月は「暗号資産トレジャリー」戦略の発表だけで株価が上がる例が相次いだ。

「暗号資産トレジャリー」とは、企業が保有資産の一部をビットコインなどの暗号資産に組み入れる経営戦略を指す。現金や国債の代わりに暗号資産を企業財務に加えることで、インフレへの備え・投資家へのアピールを狙うものだ。

真の勝者は手数料を得る仲介業者

しかし本当の利益は、この新たなゴールドラッシュにおける「つるはしを売る商人」に流れている。つまり、暗号資産のカストディアン(保管業者)、ブローカー、資産運用会社、投資銀行だ。彼らはあらゆる取引・送金・保管案件ごとに手数料収入を得ている。

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止まらぬ暗号資産購入の連鎖と市場の拡大

過去6カ月間でこの動きは「熱狂の頂点」に達し、「一気に広がった」と語るのは、サンフランシスコ拠点の暗号資産銀行アンカレッジ・デジタルの共同創業者、ネイサン・マコーリーCEOだ。同社はすでに、2つの大口契約を獲得している。1つはトランプ・メディアが保有する20億ドル(約2940億円)のビットコイントレジャリー。もう1つはナカモト・ホールディングスの7億6000万ドル(約1117億円)相当のビットコインの管理だ。

ナカモト・ホールディングスは、ビットコインの生みの親とされる「サトシ・ナカモト」にちなんだ名前を持つトレジャリー企業だ。同社は、ナスダック上場の小規模赤字企業カインドリーMDとのSPAC(特別買収目的会社)を利用した合併を5月に発表した。これは、上場済みの「箱となる会社」を利用して、非上場企業が上場を果たす手法である。

発表前、同社株は2ドル(約294円)未満で低迷していたが、現在はティッカーシンボルNAKAで15ドル(約2205円)、時価総額は約1億1400万ドル(約168億円)に達する。

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編集=上田裕資

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