暗号資産

2025.08.22 09:30

世界の上場152社が16兆円分のビットコイン保有、「暗号資産トレジャリー」の勝者は?

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世界の上場企業152社が16兆円相当の95万BTCを保有

1年前、ごく少数の上場企業のグループが保有していたビットコインの数は、わずか41万6000枚強だった。しかし、今ではBitcoinTreasuries.netのデータによると、152社を超える世界全体の上場企業が合計95万枚以上を保有しており、その価値は1100億ドル(約16兆円)を超えている。

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この中で最大の保有者は、ビリオネアのマイケル・セイラーが率いるストラテジーだ。ヴァージニア州タイソンズコーナーの小さなソフトウェア会社マイクロストラテジーとして出発した同社は、転換社債、変動利率の永久優先株といった金融手法を駆使し、企業の暗号資産戦略を切り開いた。現在は730億ドル(約10.7兆円)相当のビットコインを抱えるストラテジーの時価総額は、950億ドル(約14兆円)に達しており、保有資産に25%のプレミアムをつけている。

イーサリアム、ソラナにも拡大

そして、ストラテジーの後に続く企業は、ビットコインだけでなくイーサリアム、ソラナなどの多様な暗号資産に手を伸ばしている。パロアルトの暗号資産アドバイザリー会社Architect Partnersによると、今年だけで企業はすでに980億ドル(約14.4兆円)以上の資金を暗号資産の購入のために調達し、6月以降にさらに139社が590億ドル(約8.6兆円)の追加を約束した。直近では、トランプ一家が過半数を所有する暗号資産企業ワールド・リバティ・ファイナンシャルが、自社トークンのWLFIを基盤とする15億ドル(約2205億円)のトレジャリーを発表した。これはトランプ・メディアの20億ドル(約2940億円)のビットコイントレジャリーに加わるものだ。

Architect Partnersのエリオット・チュンは、この動きはまだ始まったばかりのため全体的な影響は測りにくいとしつつも、「すでにあらゆる分野で多額の手数料を生んでいる」と語る。

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伝統的な投資銀行が得る巨額の引受手数料

優先株や転換社債の発行で得られる引受手数料および関連収益は、モルガン・スタンレー、バークレイズ・キャピタル、モエリス&カンパニー、TDセキュリティーズといった伝統的な投資銀行やブローカーディーラーにとって重要な収益源となっている。

たとえばストラテジーが3月に実施した850万株、7億2200万ドル(約1061億円)相当の優先株発行では、モルガン・スタンレーを含む約12社が引受人となり、推定1000万ドル(約15億円)の手数料を得た。フロリダ州フォートローダーデールに拠点を置くMARAホールディングスは、暗号資産マイニングからビットコインの購入・蓄積へと事業を拡大している。同社が7月に発行した9億5000万ドル(約1397億円)の転換社債では、モルガン・スタンレーなどが約1000万ドル(約15億円)の手数料を得る見通しだ。

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編集=上田裕資

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