なぜ好奇心は押しのけられてしまうのか
スピードの重視が余裕を奪い、指標が洞察よりも行動に報酬を与える。専門知識が増すほど、素朴な疑問を投げかけるのが難しくなる。
リーダーは意図的に好奇心を殺しているわけではないが、成果を出すことを目的とした環境では、疑問が余計なものに感じられ始めるのだ。
好奇心を業務として機能させるには
追跡せよ。
成果だけを称えるのではなく、どんな質問が発せられたかを追跡する。会議の最後に、何が際立っていたか、何を見逃したかを問う。これはナデラが文化改革において促した問いかけと同様だ。
探究に投資せよ。
プロジェクトに着手する前に「どの前提を検証するのか」と問う。ファイザーが開発スケジュールで行ったように、その前提を証明または反証するための余裕をチームに与える。
考える時間を確保せよ。
学習と議論のために成果物を求めない時間を確保し、デバイスを遠ざける。アマゾンの「『1日目』の考え方」にならい、それを課外活動ではなく仕事の一部として取り入れる。
なぜ今それが重要なのか
AIはスピード、記憶、精度の点で人間を凌駕し続け、その差は広がるばかりだ。
しかしAIは質問の背後にある質問を問うことはない。
世界が変わったからといって目標に異議を唱えず、顧客が感じることを汲み取ることもせず、何かが欠けているときに心を痛めることもない。
それが人間のすることだ。しかし、それを可能にする条件を守る場合に限られる。
規則が変わるとき、チームを時代に適合させ続けるのは好奇心である。その好奇心が機能する余地を確保するかどうかは、リーダーシップ次第なのだ。


