UNDER 30

2025.08.25 11:45

【30under30 JAPAN2025特別賞】移籍は「転職」と同じ。堂安律が行動で見せた独自のリーダーシップ論

2026年のW杯に向けて、その存在感を増す堂安選手。(photo by Masashi Hara / Getty Images))

そのほかで、自分自身の成長を感じる瞬間はどんなときですか?

advertisement

フライブルク所属中に感じたことでいうと、失敗したあとのマインドセットの持ち方からでしょうか。

昔はミスをしたら、後悔して悩むタイプだったんです。「こうすればよかった」とか、監督やサポーターはどう感じただろうかと、考えすぎることも多かった。サッカーはそもそもミスがあるスポーツです。その中で、変えられない過去に執着して引きずることには意味がないとマインドセットを変えました。
「次はどうするか」だけにフォーカスするようになったんです。ミスした映像は見返しますが、落ち込まずに行動だけを変えます。翌日の練習から。そして外界がどう感じたかには囚われない。

そう意識できるようになって、成長を感じました。ただ意識を変えられただけでなく、実践もできるようになってきていると思いますね。

advertisement

感覚を言語化することで、行動を変えたのですね。
 
言葉でアウトプットすることは大事にしています。経営者や他の競技の選手も含めて、インタビューを見るのが好きで、彼らが何を考えているのかを紐解いていくのも好きなんです。気になった言葉や言い回しを試してみると、自分の頭の中に染み付いていく感覚がある。

言葉を意識的に使うと、自分の行動が変わって、その先の結果にもつながることがあると思っています。ただ、僕の言葉に注目いただく中で、逆に深読みされすぎることもありますけど……。シンプルに感じたことを伝えているだけなので、深読みしすぎないでいてもらえれば(笑)。アスリートだから、クールでいるよりも感情をありのまま伝える方が人間味があっていいんじゃないかなと思っています。

海外で挑戦を続ける中で、壁を乗り越えるために必要だと感じることは何でしょうか?

文化の違いの壁ってよく言いますよね。僕は、それって言い訳だと思っているんです。日本人が嫌だと感じることは、外国人がされても嫌だし、喜ぶことも同じ。難しく考えすぎて、配慮して壁を作っているのは自分の方で、それだと馴染めないんです。

僕自身がその壁を壊せたのは、アダムジュニオール(チュクブイケ・グリディー・ジュニア・アダム)選手と仲良くなったことがきっかけです。普段は陽気なのに、悩むと繊細だし、恋バナもしてくるし、話していて日本の友達と何も変わらないんですよ。

「言語や文化や人種が違う」ではなく、「同じ人間やん」って気付いたんです。仲の良い友達と話すときって「これ言ったら差別に聞こえるかな」なんていちいち考えないですよね。でも心から楽しめる。自然体で彼と接するようになって、一気に距離感が縮まりました。こちらが気を遣うと相手も気を遣ってしまいますからね。

壁を壊せたことで、チームメイトとの仲が深まり、サッカーのコミュニケーションもうまくいくようになりました。仲良くなるとパスも回ってくるんです。海外では特に。自分にとって大きな気付きでしたね。

世界の名門チームが獲得を競った移籍に決着。堂安選手はSNSでファンに報告した。(2025年8月8日)
次ページ > アンダー30の世代へメッセージ

文=井澤 梓

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事