学生のアイデアから生まれたもう1つのユニコーンAnyscale
その評判によって、後にAnyscaleを共同創業する学生たちが彼のもとに集まった。同社は、ストイカにとって2社目のユニコーンとなった。
Sparkの誕生から6年後、博士課程の学生フィリップ・モリッツとロバート・ニシハラは、Sparkがすべてのタスクが完了するまで次の処理に移れないという欠点を解決するための取り組みを開始した。モリッツとニシハラは、バークレーの別のコンピューターサイエンス教授、マイケル・ジョーダンの学生だ。
ジョーダン教授は、「私はシステム構築者ではないから、彼らに多くの指導はできないと思った」と振り返る。彼は2人にストイカの授業「分散システム」を受講するよう勧め、彼らはストイカとともに解決策に取り組んだ。
そして、そのプロジェクトが、大規模な強化学習を、Sparkのような同期システムよりも効率的に処理するために設計されたソフトウェアの「Ray」となった。ストイカはその後、「いかにも彼らしいやり方で、すぐにそれを会社にしようと考えた」とジョーダンは語る。ジョーダン自身もストイカや学生たちとともに、この会社の立ち上げに関わった。
次世代AIアプリを支えるAnyscaleの挑戦
こうして2019年に設立されたのがAnyscaleだった。開発者がAIアプリケーションをスケールさせるためのプラットフォームを運営する同社は、設立後のわずか3年で2億6000万ドル(約379億6000万円)を調達。直近の2022年9月の調達ラウンドでは、評価額14億ドル(約2044億円)で2億ドル(約292億円)を調達した。サンフランシスコに拠点を置く同社の会長を務めるストイカは、「Anyscaleは非常に順調だ」と語り、今後12カ月以内に追加の資金調達を行う予定だと述べている。
「彼は問題を見つけ、それをどうすれば本当に解決できるのかを理解しようとするのが好きなんだ。そのような姿勢が優れた研究を生み、優れたビジネスを生む要因となっている」と、ストイカの同僚でLMArenaの研究者でもあるジョセフ・ゴンザレス准教授は語る。
大学研究とオープンソースの力
そして、ストイカによれば、問題解決のカギは大学にあるという。「大学は成果を公開する。対して企業は中核技術を公開しない。だからこそSparkもRayもオープンソースとして出発した。これが企業の研究との大きな違いだ」と彼は指摘する。DatabricksのSparkも、AnyscaleのRayもオープンソースソフトウェアプロジェクトとして始まり、現在も一般に公開されている。


