キャリア・教育

2025.08.24 12:00

推定資産3650億円、2社のユニコーンを生んだ米バークレーの教授が大学を離れない理由

カリフォルニア大学バークレー校(Shutterstock.com)

カリフォルニア大学バークレー校(Shutterstock.com)

米カリフォルニア大学バークレー校のイオン・ストイカ教授(コンピューターサイエンス)は、研究室にマイクロソフトやグーグルなど世界の大手テック企業から資金提供を受け、そこからDatabricksやAnyscaleといったユニコーン企業を次々と生み出してきた。現在60歳。推定資産25億ドル(約3650億円)のビリオネアとなった今も、彼は研究室と教室に立ち続けている。なぜ世界的な起業家でありながら、教育と研究の現場を離れないのか――。

AI研究室から生まれた遊び心の実験

ストイカと彼の学生たちは、誰かに先を越されるのが嫌いで、特にライバル校のスタンフォード大学には負けたくないと思っている。

ある時、彼らが開発したオープンソースのAIチャットボット「Vicuna」と、スタンフォード大学の「Alpaca」を比較したいという要望が上がった。それに応え、チームは両者を真剣勝負のAI対決で戦わせたのだ。

ユーザーコミュニティは、この闘いに熱狂した。間もなくストイカたちは、ランダムなモデル同士を並べてテストし、勝敗を投票できる機能をボットに追加した。「すべては単なる遊び心から始まった」と、このプロジェクトに参加した准教授のジョセフ・ゴンザレスは説明する。

ChatBot Arenaが世界のAIモデルを集める場に

その遊びから誕生したのが「ChatBot Arena」だ。同ウェブサイトでは400以上のAIモデルをホストし、複数モデルと同時にチャットできる。2025年4月にはその運営体制をスタートアップ「LMArena」としてリブランドし、会長にはストイカが就任した。創業2年の同社のプラットフォームは、OpenAIやxAI、グーグルなどの開発者たちが自らのチャットボットをテストする場として利用しており、ユーザーによる投票数は350万件を超えている。

LMArenaは、ベンチャーキャピタル(VC)から1億ドル(約146億円。1ドル=146円換算)を調達しており、評価額は6億ドル(約876億円)に達している。

LMArenaは、ストイカの研究室が生んだ成功例の1つにすぎない。この研究室は主にマイクロソフトやエヌビディア、グーグル、IBMなどの民間テック企業から資金提供を受けており、業界に大きな影響を与える成果を次々と生み出してきた。ストイカは、学術界でほぼ30年にわたって活動するなかで、大学の同僚や学生たちとともに4社を共同創業し、そのうち2社をユニコーンに成長させている。

かつて共産主義体制下にあったルーマニアに生まれたストイカは、1990年代後半に米国へ渡り、カーネギーメロン大学で電気及びコンピューター工学の博士号を取得した。卒業後、西海岸に向かった彼は、2000年にUCバークレーで教鞭を執り始めて以来、研究室を拠点に学生の指導を続けている。ストイカの研究の多くは博士課程の学生とともに行っているが、学部生への教育も続けており、今年の秋にはオペレーティングシステムとシステムプログラミングの授業を担当する予定という。

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編集=上田裕資

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