健康

2025.08.20 17:00

海外でブーム、「日本式ウォーキング」がワークライフバランスの実現に一役買う理由

west / Getty Images

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定期的な運動が心身の健康を促進し、不安症状を患うリスクを60%近く低下させることが科学で明らかになっている。そして、ワークライフバランスに最適な運動としてウォーキングが推奨されている。健康を促進するウォーキングには「畏敬の念を抱くウォーキング」や 「マインドフルウォーキング」などいろいろある。そして今、「日本式ウォーキング」と呼ばれるエクササイズがネット上で話題になっている。研究によると、科学的裏付けのあるこのインターバル速歩では、ワークライフバランスを充実させるために必要な体力をつけられるという。

「日本式ウォーキング」の特徴

「日本式ウォーキング」という名称は、日本の著名研究者である能勢 博教授が提唱していることにちなんでおり、世界中のフィットネス初心者や運動熱心な人の間でもてはやされている。ハードルの低いこのインターバル速歩は健康効果を約束し、従来の運動にありがちなプレッシャーなしに仕事がある平日に体力をつけることができる。「日本式ウォーキング」の検索回数は、7月だけで世界で32万9000回と急増している。

身体機能向上のためのフィットネスを専門とするノルウェーのスポーツ用品会社Fynd(フィンド)の最高経営責任者(CEO)トロンド・ニーランが、この高強度のウォーキングの習慣が世界で人気を博している理由を教えてくれた。

ニーランはこのシンプルなインターバル速歩について、より活動的なライフスタイルを始めるための最良の方法で、初心者の運動に対する見方を変えるものだと話す。「インターバル速歩の素晴らしさは、日常生活で無理なく行えることにある」とニーランは言う。「シンプルで負担が少なく、続けやすいため、運動を始めるという人にとって理想的なスタートとなる。よくあるハードルが取り除かれ、定期的な運動がほとんどの人にとって身近で実際に取り組めるものになる」

インターバル速歩は、3分間の普通ペースでのウォーキングと3分間の早歩きを交互に計30分間行う。速い→ゆっくり→また速いを繰り返す高強度のウォーキングだ。3分間の早歩き(有酸素運動時の最大心拍数の約70%)の後に3分間のゆっくり歩き(有酸素運動時の最大心拍数の約40%)に切り替える。このパターンを設定時間内に繰り返すことで全身のフィットネスが向上し、一貫した身体活動が促される。ステップは以下の通りだ。

1. 有酸素運動時の最大心拍数の40%で3分間歩く

2. 有酸素運動時の最大心拍数の70%で3分間歩く

3. ステップ1と2を続けて最低5回繰り返す

このシンプルなウォーキングは、何千歩も歩くことなく最大酸素摂取量(運動中に心臓や肺、筋肉が効果的に消費できる酸素量の最大値)を高めることができる。この効果は医学誌『Mayo Clinic Proceedings(メイヨー・クリニック・プロシーディングス)』に2007年に掲載された研究で示されている。研究では、50歳と60歳の男女を2つのグループに分け、1つのグループには1日8000歩を無理のないペースで歩き、別のグループにはインターバル速歩を行ってもらった。

週4回のウォーキングを5カ月間続けた結果、インターバル速歩を行った人は中程度のウォーキングを行った人よりも大腿部の筋力が向上した。また、インターバル速歩を行った人は最大酸素摂取量が高まり、収縮期血圧が男性では平均10mgHg、女性では平均8mgHg低下した。研究チームは、ウォーキング中にペースを変えることで有酸素運動能力が向上し、生物学的年齢が下がると結論づけている。

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翻訳=溝口慈子

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