「国際物流のリスク全般をカバーする海上保険(貨物)は保険の象徴です」。こう語るのはAIG損害保険 海上保険部 アンダーライティングコントロール課 課長の瓜田秀幾だ。20年にわたり海上保険の最前線に立ってきた瓜田に、グローバルネットワークと高度な専門知識を武器に、企業の事業継続を支えるAIGの強みや可能性について聞いた。
※本記事はAIG損害保険による寄稿記事です。
グローバルとの連携で磨き抜かれた海上リスク対応力
今、国際物流はかつてない不確実性のなかにある。地政学的な緊張の高まりや一部海域の安全保障リスク、航路変更の頻発、気候変動の影響などの複合的なリスクの結果、輸送コストの増加や貨物損害の発生可能性が高まり、企業活動に大きな影響を及ぼす場合もある。
こうした環境下で、海上保険の果たす役割はより重要になっている。企業が国際物流を安定して維持するには、最新情勢を踏まえた的確なリスク判断と、状況に応じた柔軟かつ戦略的な保険設計が不可欠だ。損害保険会社には補償を提供するだけでなく、企業の国際展開を支える戦略的なリスクマネジメントの担い手として、高度な伴走力が求められている。
この海上保険という専門性の高い分野に対し、知的好奇心を絶やすことなく20年にわたり魅了されているプロフェッショナルがAIG損保には存在する。海上保険部 アンダーライティングコントロール課で課長を務める瓜田秀幾だ。
「ある運河が封鎖されたら、ある大陸向けの予定された輸送ができなくなります。では、別の運河に切り替えたらどうなるのか。航路が変われば適切な保険条件や保険料へ見直しが必要になります。全方位的に物事を見て考え、先回りして備えられるかが問われるところに、この仕事の醍醐味を感じています」
アンダーライター歴20年になる瓜田は現在、チーフアンダーライターとして、引受け方針の策定から保険料や保険条件の指針決定、営業部門への情報共有まで幅広く担う。自らがグローバルブローカーや事業会社のリスクマネージャーとも折衝し、実務とマネジメント双方の観点から海上保険の品質を支える存在だ。
「国際情勢の緊張や安全保障リスクといった世界の動きは、保険の引受け条件や補償内容に直接影響します。特に輸送ルートの混乱や不安定な地政学リスクは、海上保険の保険料や契約内容を左右する大きな要因です」
瓜田は毎朝、国内外の多様なメディアを通じて今起きていることをチェックするほか、論文や判例にも目を通す。世界各国にいるAIGのグローバルメンバーとも日々連携し、引受け方針やリスク判断に役立てている。
「そうして得た膨大な情報から重要なトピックを選定し、ブローカーやリスクマネージャー十数名へ個別に共有しています。相手に応じた1対1での対話をするのが流儀です。追加情報や提案を送ったり、専門書を貸し出したりすることもあります」
即応性と正確性を徹底しつつ、相手への関心や想像力を忘れない。瓜田のコミュニケーションは常に丁寧で行き届いている。「不安を抱えたままでは前進できない。だからこそ最新情報を基に腹を決め、決断することが自信につながる」という信念が、信頼関係の構築と的確なリスク対応の礎となり、AIG損保の引受け品質を支え、その提供価値を一層高めている。現場に強い人材とグローバル全体で機能する制度設計。その両輪がAIG損保の競争力の源泉だ。

海外拠点のリスクを包括的に支える、AIGの大きな可能性
近年、保険業界は大きな転換期を迎えている。従来の取引慣行の見直しが進み、構造的な変化や規制強化などが進んでいる。そのような状況下で、瓜田やチーム、AIG損保が地道に続けてきたリスクコンサルティングに、今さらなる追い風が吹いている。実際に海外展開を行う企業からは「グローバルに進出する日本企業が海外で保険を手配するならAIG」との声もあり、豊富な実績が選ばれる理由の柱になっていると感じられる。
「今まで接点のなかった企業からの引き合いが、大手企業も含め大幅に増えています。AIGのグローバル保険プログラムに興味を持ってくださるお客さまが多く、特にCMP(コントロールド・マスタープログラム)のニーズが急増しています。私たちはAIGのグローバルネットワークを活用し、現地情報も踏まえた最適解を提案しています」
グローバル保険プログラムとは、海外に複数の拠点を持つグローバル企業が海外拠点を含めた保険契約を一元的に管理できる、包括的な保険ソリューションを指す。そのなかでCMPは、当該グローバル企業の本社の方針を反映するマスターポリシー(グローバルポリシー)と、各国の法規制に準拠したローカルポリシーを組み合わせ、グループ全体で一貫した補償を実現する仕組みだ。補償の重複や漏れを防ぎつつ、保険料や契約内容を本社主導で統一・最適化できることが特長である。
AIGのCMPニーズが高まる背景には、各国の保険制度や規制に対する深い理解と高い対応力、豊富な実務経験に対する信頼があると考えられる。物の流れに加え、国際物流業界の条約、関税・税制といった幅広い知識が求められる。こうした顧客ニーズに対応するため、 AIG損保には、同プログラムを取り扱う担当者に向けたトレーニングプログラムがAIGグローバルから提供されている。
プロとして日々現場で研鑽し続ける瓜田は昨今、後進育成にも尽力してきた。コロナ禍で減った学びの機会を補うため、週1回のオンライン勉強会を自主開催。専門分野だけでない幅広いテーマで学びの場をつくり、ときにリスクマネージャーなど外部講師も招き、次世代のスペシャリスト育成を推進している。専門性の高い人材が増えることで、AIG損保全体のリスク対応力が強化され、お客さまの期待により高度に応えられる体制整備ができると考えているのだ。
グローバル展開する企業にとって、保険は戦略的なリスクマネジメントになりつつある。保険の管理は一般的に総務部門や物流部門に任されることが多かったが、専門的なリスクマネージャーが配置されるケースが増えている。リスクマネージャーと対等に議論できる知見を持つ、瓜田のような専門家を抱えているのがAIG損保である。
「AIGのグローバルメンバーや現地の法律家をはじめとする、世界各国で連携できるネットワークや海外での事故に関する豊富な知見、最新かつ正確な情報に基づいた提案力が、AIG損保にはあります。お客さまの課題と真摯に向き合い、ビジネスを支えるパートナーであり続けたいです」
AIG損保のグローバルリスクマネジメント
https://www.aig.co.jp/sonpo/global

瓜田秀幾(うりた・ひでき)◎AIG損害保険株式会社 海上保険部 アンダーライティングコントロール課長 兼 マリンチーフアンダーライター。2019年3月入社。AIG損害保険のMarine Portfolio分析・管理による引受指針の策定に携わる。アンダーライターへの指揮をとりつつ、大型かつ複雑なグローバルプログラムを担当することでAIG Marineの規模拡大を実践。正確かつ迅速な対応をするために、海上保険のみならず国際物流・国際条約・国内外法令・約款など洋書を含め400冊以上を所有し、日々自己研鑽に励んでいる。



