痛みへの反応が他者の存在によって変わるというのなら、日常生活での他者との関わりは、私たちにどんな長期的影響をおよぼすのだろう?
寿命を左右するのだろうか?
この疑問に答えるために、ホルト=ランスタッドは世界中の研究を分析して、社会的つながり感が後年の健康に与える影響を調べた。
結果、緊密な社会的つながりを持つ人は、最も弱い人に比べて、分析終了時点で存命している確率が50%も高かった。
また、寿命に関わるさまざまな要因──遺伝的要因、質の高い医療へのアクセス、適度な運動や食事などの健康的なライフスタイル──を調べたところ、これらの影響力は、長寿を最も強力に予測する要因である「社会的つながり感」に比べて、ずっと小さいことがわかった。
不幸せだけでなく、死を招くことも
孤独は不幸せだけでなく、死を招くこともある。
アメリカン・サージョン誌が2023年に発表した、アメリカの孤独と孤立の蔓延に関する報告書によると、「社会的つながりが乏しい」と答えた人は人口の50%にも上った。
報告書は次のように推定する。
「乏しい、または不十分な社会的つながりが身体的健康に与える影響には、心臓病リスクの29%増加、脳卒中リスクの32%増加のほか、高齢者の認知症発症リスクの50%増加などがある」


