ヘルスケア

2025.08.22 10:15

「衝動を抑える脳の仕組み」感情をコントロールできないのは大人も同じ

Getty Images

大人も、前頭前野システムがうまく働かないと、衝動的で無秩序な考えにとらわれることがある。

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アルコールは前頭前野の機能を低下させるため、泥酔した大人は自分を抑えられない。

感情制御は、「アンガーマネジメント」──怒りが爆発しそうな時に、頭を冷やすこと──のカギも握る。

前頭前野システムが時間をかけて成熟することには、絶え間なく変化する社会規範や規則、文化に順応しながら、行動を少しずつ変えていけるというメリットがある。

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神経科学者のサラ=ジェイン・ブレイクモアによれば、私たちは前頭前野システムを発達・拡張させ、大人として行動するために必要な制御ネットワークを構築しながら、「自分をつくりかえていく」という。

成熟した大人は、前頭前野システムの働きによって感情や行動をコントロールする。このシステムは年齢とともに、計画や推論、また無関係な思考や侵入思考〔考えたくもないのに考えてしまうこと〕の抑制を担う、脳の「実行機能」を司るようになる。

安定的で一貫した規則正しい幼児期を過ごす子どもは、周りの状況のパターンに気づき、それを読み取り、状況への対処方法を先読みすることができる。成熟中の脳は状況に応じた行動を取り、「自分がこうしたら、相手はこうするはずだ」というパターンを学んでいく。

心の理論が支えるこの予測能力があるからこそ、私たちはこの複雑な世界をわたっていけるのだ。

私は「あなたにこうだと思われている」と思っている人間だ

幸せと関係のある自己意識にはもう1つ、「人にどう見られているか」を気にする自己意識がある。

私たちの人となりは、人がどう思うかにも影響される。自分はユーモアがあると自負していても、誰も笑ってくれなかったら、「本当にユーモアがあるのだろうか?」と疑うだろう。

私たちは周囲の反応を見て、自分がどんな人間かを理解し、それをもとに自己を形成していく。

社会学者のチャールズ・クーリーは、これを「鏡に映った自己」と呼んだ。

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文=ブルース・フッド/ブリストル大学心理科学部発達心理学教授、訳=桜井祐子/翻訳家

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