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2025.08.28 14:15

ポスト爆買いの今、中国人旅行者が日本で「宝探し」する意外な場所

Getty Images

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7月16日に日本政府観光局が発表した訪日観光客数は、2025年上半期で2151万8100人。2024年同期比で21%の伸びだ。そのうち、韓国人と中国人(メインランド)がそれぞれ約20%を占めている。消費金額で言えば中国が1兆円を超えており、全体の20%以上でトップを維持している。

しかし、消費の現場から聞こえてくるのは「思ったように売れていない」「買われていない気がする」といった戸惑いや困惑の声だ。その背景にあるのは中国消費者を取り巻く消費環境の変化であり、同時に消費者の価値観そのものの転換だ。かつての「爆買い」ブームとは異なる中国訪日観光客の消費を、その環境や概念の移り変わりから紐解き、今後のインバウンド事業のカギとは何か、考えてみよう。

中国経済は転換期、現れた「ピンティ」とは

中国国家統計局の発表では、2025年上半期のGDP成長率は5%余りと成長を続けているが、かつてのような二桁成長のスピード感はない。当時を知っているビジネスパーソンからすれば「スローダウン」を感じるだろう。

毎月の消費者物価指数を見てみると、1月こそ前年比+0.5であったが、その後はマイナス成長が続いていた。6月になってようやくプラスに転じたが、その幅は決して大きくない。

もちろん、地域差はあると思われるが、全体として物価が下落傾向であると言える。いわゆるデフレ気味になっているのだ。ある出張者の話では「上海で約600元(約1万2000円)程度だった現地の日本料理屋の食べ飲み放題が、400元になり、今では300元代」という。

そうしたなかで現れたのが、「平替(ピンティ)」だ。これは、「同様の効果が得られるのなら、外資などのハイブランドでなく価格の安い国産ブランド商品を買おう」という行為を指す。化粧品だけではなく、多くの領域で起こっている現象だ。中国国内産の商品レベルが上がってきたためともいえるが、日系を含めた外資系企業にとっては脅威となっている。

「平替」には「お金が無くて買えない」という悲壮感よりも、むしろ「そこまで海外ブランドなどに投資する必要が無かったと気づいた」という、理性的消費のニュアンスが強い。そして、平替によって余ったお金を、推し活など自分の趣味や興味のあるトレンドに費やすという動きが生まれている。すなわち、単純な「グレードダウン」ではなく、「メリハリをつけることでQOLを向上させる」ものであるように筆者には見える。

これまでは「より高級でハイレベルな商品」を求めることがステータスだったのが、「価値観はみんな違い、自分の好きなもの、自分の悩みに合ったものにお金を使う」時代へと変化している。ニーズの個性化、細分化へとつながっているのである。

例えば近年、ユーズド商品を取り扱う中国版メルカリ「閑魚(シェンユー)」での交易量が増加。これまでは新品の商品こそ良いとされていたが、「別に新品でなくてもいい」という認識が広まり、ファッション業界では「日本の古着ファッション」などがトレンドとして注目されたりしている。

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文=濵野智成 編集=露原直人

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