マーケティング

2025.08.28 14:15

ポスト爆買いの今、中国人旅行者が日本で「宝探し」する意外な場所

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商機のヒントはドラッグストアにあり

こうした中国消費者の嗜好の変化は、インバウンド消費にも大きく影響している。観光庁が四半期に1回発表している「インバウンド消費動向調査」というアンケート調査を見ると、コロナ前には中国大陸からの訪日客の実に8割が購入していた化粧品類だったが、コロナ後にはその比率がぐっと減り、7月に発表されたデータでも50%台にとどまっている。

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背景には、コロナ禍によってインバウンドが消失したのと同時に、越境ECなどでの販売にシフトしたことがある。グローバル展開の流れで、日本の商品の中国現地展開も進んだ。中国消費者にとっては、日本に行かなくても日本と同じ商品が買える環境が整ったのである。

現在、グローバルに展開している商品は中国のデフレ化の波を受けている。特に商戦期においては、中国企業の商品が超低価格で販売され、さらに大量の販促品が付く状況にあり、インバウンドで日本を訪れた消費者は、同様の商品は「日本で買うと割高」と感じてしまうのだ。

ではどこに商機があるか。

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NOVARCAでは毎月、中国版InstagramともいわれるSNS「小紅書(RED NOTE)」の訪日観光関連のクチコミをモニタリングしている。そのショッピングに関するクチコミを見ると、訪日時にまず訪れるスポットは「ドラッグストア」。なぜならば、ドラッグストアの商品の多くは「中国では売られていない」商品が多い、同時に「何かの悩みなどに特化したアイデア商品が多い」、そして「価格がリーズナブルである」からである。

考えてみればドラッグストアで販売されている商品は、医薬品から化粧品、生活雑貨にいたるまで細かなニーズに対応したものが多く、手軽に買える価格帯に抑えられている。またオーラルケアやアクネケア、睡眠ケアやメンタルケアなど、中国ではニーズが増えているもののまだ専門的商品が少ない商品も、日本のドラッグストアであれば容易に手に入る。細分化されたニーズに応えてくれ、かつローコストという中国消費嗜好の2点において、ドラッグストアは「宝探しの場所」なのである。

日本にとってはむしろチャンス

ドラッグストア人気から見えるのは、中国のニーズ変化やデフレ化は、日本にとってはデメリットばかりではないということだ。業態や商品によっては思わぬチャンスが巡ってくる可能性も秘めている。なぜなら中国は改革開放後、経済成長下で、「コストをかけることで良いものをつくる」経験を積んできても、コストを抑えつつ高いクオリティを保つ技術の蓄積は乏しいためである。

逆に「低価格でハイクオリティなものを造る」という点において、日本の右に出るものはいない。持たざる国ならではであるが、特に失われた30年間にわたって日本は素材を無駄なく活用し、「安かろう悪かろう」ではなく「安く良いものをつくり続けてきた」のである。

その代表的な現象が「日本の回転寿司の進出」。スシローは広東省から出発し、北京に進出した当時(2025年4月ごろ)は、8時間から10時間待ちという人気ぶりを見せた。以前「高級品」のイメージであった寿司が、リーズナブルにかつ高いクオリティで食することができることが、中国消費者の琴線に触れたのである。

中国の消費者ニーズは常に細分化、個性化している。インバウンドでそれを取り込むには、いかにニーズを把握し、合致する商品を打ち出せるかにかかっている。


【訂正とお詫び】
本記事公開時、本文にて「中国市場からはま寿司が撤退」との内容を記載しましたが、そのような事実はございませんでした。誤った情報をお伝えしたことをお詫びし、訂正いたします。

文=濵野智成 編集=露原直人

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