ほぼどんなキャリアでも、どこかの時点で、いまの職にとどまるべきか、それとも転職すべきかという疑問が持ち上がる。辞めるべき時を判断するのは難しい。かつては充実感があったり、会社が安定を与えてくれていたりした場合にはなおさらだ。
とはいえ、転職すべきだという微妙なサインを無視していると、職業上の停滞や燃え尽きにつながり、果ては憤りまで生まれることもある。仕事がもはや自分には適していないという事実を認識することは、自分の成長、幸福、キャリア全体を通じた軌跡を保つために欠かせない。
1. 「能力を試されている」と感じなくなった
転職すべき時を告げるサインのなかでもわかりやすいものが、自分の仕事に興奮しなくなったり、能力を試されていると感じなくなったりすることだ。
その職に就いたばかりのころは、一般には学習曲線の途上にあり、新たな職責があなたの関心を常に引きつけていた。ところが、ひとたび自分の職務に熟達し、新たなスキルを学ぶ余地がなくなったと感じたり、追加の職責を引き受ける可能性がないと感じたりすると、停滞が始まる可能性がある。
そうした挑戦の欠如は、退屈というかたちをとって姿を現すケースが多い。知的な刺激を受けたり仕事にやる気を感じたりしないまま、無難な一日を過ごしているようであれば、その仕事がまだ自分の成長に貢献しているかどうかを考えてみる時かもしれない。
仕事に快適さを感じる状況は、短期的には魅力的かもしれないが、長期的に惰性に陥ると、職業上の発展を妨げることもある。現在の仕事がもはや自分の成長を後押ししていないのなら、それは、別の場所で新たな挑戦をする準備ができたというサインかもしれない。
自分の職責を広げる機会があるかどうか、上司に相談することを考えてみてもいい。だが、そうした対話が変化につながらないのなら、自分のスキルと野心を広げられる別の仕事を探す時期かもしれない。
2. 自分の価値観が会社と合わなくなった
転職すべき時期を告げているかもしれないもう一つの重要なサインが、個人的な価値観が、会社の方向性や文化と衝突し始めることだ。個人も組織も、時とともに変化する。以前は自分の個人的・職業上の価値観とぴったり一致していたものが、もはや合わなくなる可能性もある。
会社がミッションを変更したり、新たなポリシーを導入したりするかもしれないし、上層部の方針が、あなた個人の理念と対立するような方向に変わることもあるだろう。あるいは、会社の経営に関する倫理的な懸念が生まれるかもしれない。価値観が雇用主のそれと一致しなくなったら、それが幻滅につながり、自分のやる気や業績に影響が出ないともかぎらない。
こうした価値観の不一致は、最初のうちは微妙なかたちで感じられることが多い。例えば、上層部の決定に同意できないとか、会社の進んでいる方向に心地悪さを感じる、といった具合だ。そうした不安が膨らみつづけるようなら、いまの組織が長期的に見てまだ自分に合っているかどうかを考えてみる価値はあるだろう。



