3人の創業メンバーは10代の頃、フランスのリヨンで出会い、スポーツやパーティー、週末のスキーを通じて友情を深めていった。その後、3人はそれぞれパリのビジネススクールへと進学し、卒業時には起業家になるという共通の志を抱くようになっていた。23歳で再開した彼らは、共同でビジネスを始めた。最初に手がけたのは、銀行やホテル向けに顧客用の老眼鏡を提供するという事業で、郵便局に設置されているチェーン付きペンに似たアイデアだった。
「レストランや銀行で、母がいつも眼鏡を探していた姿がヒントになった」とイジピジの欧州・アジア・南米市場の営業を統括するクチュリエは言う。「母はよく、『代わりに読んでくれる?』と頼んできた。当時の私たちのキャッチフレーズは『いつでもクリアな視界を』だった」と彼は振り返った。
彼らはそれぞれ約6500ドル(約95万8000円)を出資し、事業を立ち上げた。さらに、アゲラとブランがビジネススクールのコンテストで受賞したことをきっかけに、銀行から26万ドル(約3830万円)の融資を獲得した。初年度の売上は、その借入額をわずかに上回り、2011年には倍増。2012年には85万ドル(約1億2500万円)に達した。しかし、それでもなお、3人が思い描いていた成功には程遠かった。
「私たちは、このサービスを世界中の何百万もの施設に展開できると信じていた」とブランは語る。「利便性は高かったが、その必要性を顧客に理解してもらい、銀行や郵便局に導入するのは困難だった」と彼は当時を振り返る。
アイウェア事業に参入して2年が経った頃、3人は既存の老眼鏡市場にも、まだ開拓の余地があることに気づいた。そこで、彼らは老眼鏡を単なる実用品ではなく、セクシーなライフスタイルやファッションのアイテムとして再定義することを目指し、事業の方向転換を図ったとブランは語る。
彼らは、2012年と2013年に実施した2度の資金調達ラウンドで、友人や家族から計80万ドル(約1億1800万円)近くを調達した。その際、2人のリードインベスターに対し、少数株式を割り当てた。その後、台湾の製造会社と提携し、世界中のバイヤーに売り込むために見本市への出展を開始した。転機が訪れたのは、パリの高級ブティック「コレット」で製品を発表したときのことだ。
シーコンセプトは2013年、収益を400万ドル(約5億9000万円)弱にまで伸ばし、初の最終黒字を達成した。事業をスケールさせる手法を確立した創業メンバーは、欧州各地のファッショナブルな百貨店やエリアへの展開を本格化させた。
「コレットやル・ボン・マルシェ、セルフリッジ、ハロッズで発売を開始した初日から、顧客たちには大きなサプライズだった。彼らは、ラグジュアリーブランドや上質なものを愛する非常に裕福な人たちだった」とクチュリエは語る。
「フランスの俳優やセレブリティたちが、『コレットで30ユーロ(約5180円)で購入した』と自発的に紹介してくれた。老眼鏡を店頭に並べて数日で、手応えを確信した。すぐに追加発注をかけ、海外に展開する決断をした。我々の目標は、世界中の一流店舗でこの製品を取り扱ってもらうことだった」とブランは言う。


