ロマンスは予期せぬところにあると、信じ込まされがちだ。確かに、目新しさや驚きは胸高まるものだ。だが、多くの患者がセラピーで報告しているように、愛を支えるのは驚きではなく予測可能性だ。
もちろん、気の抜けたつまらないものではない。この種の予測可能性は感情を多く含み安定したものだ。黙り込むとあなたが声をかけてくれることを、パートナーは知っている。朝のキスや仕事終わりの「どうだった?」という声かけ、張り詰めた瞬間にあなたが伸ばす手などに、パートナーは頼ることができる。そのようなもののことだ。
予測可能な温かさとは優しさや関心、愛情が常に伴うもので、あなたが幾度となく選ばれているという安心感だ。
この記事では、最もロマンチックなサプライズに勝る、予測可能な温かさの驚くべき3つの作用を紹介する。
1. 心だけでなく神経系に直接働きかける
私たちはロマンスを緊張や不安で落ち着かないものと考えることが多く、それが刺激やスリルとして現れることを常に期待している。だが、安定したつながりは神経系から始まる。私たちは気持ちだけで恋に落ちるのではなく、全身で恋に落ちる。そして身体は何よりも安心感を求めている。
科学誌『PLOS ONE(プロス・ワン)』に掲載された研究はこのことについて興味深い洞察を与えてくれる。脳スキャンを用いたこの研究では、人が感情焦点療法(EFT:カウンセリングプロセスにおいて感情の役割を重視した統合的アプローチ)を受けた後にパートナーと手をつなぐと、脳の脅威反応が減ることがわかった。EFTはつながりを安らぎと安全への道と見なしている。
従って、この発見はパートナーが安らぎの源である以上に、神経面での真の安全の源になっていることを示している。関係そのものがストレスを調整していた。
この種の感情的安全性は、一貫性によってのみ作り出される。変わらない愛情や朝のキス、長い1日のあとの思慮深い声かけ、あるいは2人とも疲れているときでも優しい口調で接することなどだ。こうした小さな行為が頼れるものになれば、パートナーの神経系に「ここなら安全」という明確なメッセージを送ることになる。
さらに驚くべきことに研究者たちは、1人でいるときでもEFTが自分を落ち着かせる能力を向上させることも発見した。つまり、予測可能性は心の中だけでなく身体にも安心感を残すのだ。それは、ロマンチックなサプライズが与えてくれる一瞬の高揚感よりもはるかに調整のとれる安定したものだ。



