2025.08.18 11:00

欧州が観光客を制限すれば経済損失は36兆円、300万人の雇用喪失も

スペイン・バルセロナ中心部の大通りで繰り広げられた過剰観光に対する地元住民の抗議活動。2025年6月15日撮影(Paroma Basu/Getty Images)

欧州で多発する過剰観光への抗議活動

6月には南欧、特にスペイン、イタリア、ポルトガルでオーバーツーリズム(過剰観光)に反対する抗議運動が発生し、観光が都市に及ぼす悪影響に関して地元住民の不満が高まっていることが浮き彫りになった。

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バルセロナを例に挙げると、160万人の人口に対し、昨年は2600万人の観光客が訪れた。英ロイター通信をはじめとする報道機関は、同市で6月15日に数千人が水鉄砲を持って集まり、ホテルや観光客に水を噴射したり、色のついた煙を放出したり、横断幕を掲げたりした様子を報じた。

パリにあるルーブル美術館ではその翌日、職員が慢性的な人員不足や観光客の過密状態に伴う労働環境の悪化を巡ってストライキを起こし、4時間にわたって臨時休館した。ルーブル美術館は当初、年間400万人を収容できるように設計されていたが、昨年の来館者数は900万人近くに上った。同美術館は1日の来館者数の上限を3万人としているが、職員は米CNNの取材に対し、忍耐力を容赦なく試されているようだと吐露。中庭に設置されているガラスのピラミッドの温室効果によって気温上昇を助長していると指摘したほか、敷地内に日陰のある休憩所やトイレが不足していることを問題点として挙げた。こうした環境により、職員は日々押し寄せる来館者の管理に苦労しているという。

観光地の過密状態を緩和するには

では、雇用や税収、地域経済への負担を犠牲にすることなく、欧州の人気観光地が過剰観光問題に取り組むにはどうすればいいのだろうか?

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WTTCは、リアルタイムデータを使用して旅行者の流れを追跡し、問題を早期に発見するなど、バランスの取れた観光管理を求めている。同協議会は、単に観光客数を制限するのではなく、政府、企業、住民が一体となり、地元住民の生活の質と長期的な観光業の成長の双方を支えるような将来計画を立てることを推奨している。観光業が自らの地域社会にどのように役立っているのかが分かれば、この産業を支持する住民も増えるだろう。

英旅行会社ワイルド・フロンティアーズのクレア・トビン最高経営責任者(CEO)は筆者の取材に対し、過剰観光に対処する新たな方法を強調した。「旅行者に別の目的地を訪れるよう促すことも重要だ。欧州の最も人気のある国には、まだほとんど知られていない町や村が数多くある。あまり混雑していない場所に滞在すると、地元の文化に浸り、その土地の地域社会について学ぶ最高の機会が得られるだろう」。トビンCEOはアムステルダムを素晴らしい例として挙げた。同市の観光局は、市外の観光名所や体験を紹介し、近隣の町と協力して交通網を整備することで旅行者を分散させようとしている。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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