アジア

2025.08.16 16:15

この夏、韓国で頻繁に起きているテロ予告。「冗談」と釈明する犯罪にどう対処するか

Bits And Splits / Shutterstock.com

なぜこのような要素が脅迫文に盛り込まれるのか。その理由や狙いについては主に以下のように分析できる。

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*犯人の「責任転嫁」や社会混乱の狙い。自分の正体を隠すため、または捜査を攪乱する目的で他国(日本)や実在の人物名義を騙る
*韓国社会に残る反日感情や政治的対立を利用して、混乱を助長する意図
*実在の弁護士名を用いることで「本物感」と説得力を演出し、市民や関係者の不安を最大化する
*ファックスなどの一部アナログ手段が日本でも現役で用いられている印象を利用して、「日本人犯人説」を連想させる

さらに、脅迫メッセージには共通している部分がある。「○○百貨店に爆薬を設置した」「1時43分に生徒に硫酸テロを行う」など、場所や時間を具体的に記すのが特徴だ。また、複数の事件で「独特のフォント」や「特定の弁護士名」、数百校単位の大量送信など、組織的または模倣犯の存在も疑われている。

韓国では、爆破予告やテロ予告、業務妨害の脅迫行為は、たとえ実行せずとも「威力業務妨害罪」や「信用毀損・業務妨害罪」といった刑事犯罪として厳しく扱われる(刑法第233条、第234条等)。実際、2024年にも同様のファックスによる爆破予告で即座に逮捕、立件された事例もある。

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韓国での威力業務妨害罪の法定刑は「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」だ。犯行予告が社会に与える影響や損害を考慮し、実害(避難や営業停止など)が発生した場合はさらに量刑は重くなる。「冗談だった」「こんな大事になると思わなかった」といった言い訳は一切通用せず、未成年でも逮捕や厳重な指導や補導が行われる。

このような爆破予告やテロ予告は、「本物」か「ニセモノ」かにかかわらず、市民の不安と混乱を引き起こす点で極めて深刻な社会問題となっている。さらに、警察が他の事件に動員する人員を奪われるという点もあり、非常に悪質な犯罪だといえる。特に学校やデパートなど、不特定多数が集まる場所での業務停止や避難指示は、経済的損失だけでなく、心理的ショックと長期間の不安を引き起こす。

韓国社会では「こういう脅迫犯もテロ犯と同様に厳しく処罰すべき」「積極的な捜査と真相解明を」「類似事件の防止のため再発防止策を」といった声が強まっている。

現行の捜査体制や社会環境下では、匿名の手段(ファックスやネット掲示板など)での予告行為を未然に防ぐことは困難だ。しかし、捜査当局はひき続き追跡を強化し、被害が拡大しないよう対応を急いでいる。

IT社会では「冗談」や「模倣」が思わぬ大事件につながるという情報環境に置かれている。匿名という仮面の背後に隠された犯罪を見逃さず、責任追及と再発防止に社会全体で目を向ける必要があるといえる。

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