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2025.08.26 20:00

LEXUSが“空”で見つけた仲間と技術──エアレースへの挑戦が拓くものづくりの未来

ラグジュアリーライフスタイルブランド「LEXUS」が、世界的パイロット・室屋義秀とタッグを組むチーム『LEXUS PATHFINDER AIR RACING(以下、LPAR)』。“空のモータースポーツ” 『AIR RACE X』で2024年の初代王者に輝いた同チームだが、その栄光の裏では、意見の食い違いを乗り越え、粘り強く話し合いを重ねてきたという。チームはいかにして困難に立ち向かい、燃えたのか。室屋とLPARテクニカルコーディネーターの中江雄亮が語る極限への挑戦とその先にある未来。


「1%の進化」を追求するLPARの挑戦

最高時速400km超、最大重力加速度12Gという極限の状況下で競う『AIR RACE X』。世界的に人気を博した『エアレース(Red Bull Air Race)』を継承している、世界各国のトップパイロットたちが技巧とスピードを競い合うモータースポーツだ。

2025年シーズンの最終戦となるラウンド3は、AR(拡張現実)観戦型のスポーツイベントとして、9月6日(土)に大阪・うめきたで開催される。24年に初代シリーズチャンピオンの栄光を手にしたLPARは、25年シーズンにディフェンディングチャンピオンとして臨む。だが、室屋に気負いはない。 

「シーズンが変わり、新しいシーズンになれば、去年勝ったかどうかはあまり関係ありません。毎年シーズン、スタートするときは新しい、先の読めない挑戦と考えて臨んでいます」(室屋)

その言葉を裏付けるように、今シーズンはライバルチームや新人選手の台頭も著しい。「去年より速くなってくるだろうなという予想はあったんですが、ラウンド1では予想以上に速かった」と室屋が語れば、LPARテクニカルコーディネーターの中江雄亮も「昨シーズンは最終的にはチャンピオンになれましたが、圧勝というわけではありませんでした。むしろほかの選手の追い上げに脅威を感じており、戦々恐々としていました」と明かす。

ライバルたちの進化を前に、チームが目指したのは自らの成長だった。室屋は「『年間1%速くなる』という目標をずっと掲げてやっていて、大体0.5〜0.6秒くらいのタイム短縮を常に目指しています」と話す。

「年間1%速くなる」という高い目標を象徴するのが、今季の戦局を大きく左右した「新型ウイングレット」の開発だ。構想自体は17年から温められてきたもので、24年の春から本格的に開発がスタート。当初は24年の秋に風洞試験で効果を確認し、9月のシーズンラウンド3での投入を予定していた。しかし、4月に開催されたラウンド1を2位で終えたチームは、「これでは勝てないかもしれない」と危機感を共有し、計画を大幅に前倒すことを決断する。

新型ウィングレット
新型ウイングレット
左:エアレース・パイロットの室屋義秀と右:Lexus International Co. レクサス統括部  主幹 兼 LEXUS PATHFINDER AIR RACING テクニカルコーディネーター の中江雄亮
左:エアレース・パイロットの室屋義秀と右:Lexus International Co. レクサス統括部 主幹 兼 LEXUS PATHFINDER AIR RACING テクニカルコーディネーターの中江雄亮

レース機の複雑な形状の部品を設計・製造し、安全性を試験するには、通常長いリードタイムが必要となる。ラウンド2までの約2ヶ月という極端に短い期間でそれを実現するのは無謀ともいえる挑戦だった。テクニカルコーディネーターの中江でさえ、当初、投入できる可能性は低いと考えていた。

「私自身も『言ってはみたもののダメな可能性のほうが大きい』と思っていました。しかし、開発メンバーは私たちが要請する前から『このタイミングで投入するだろう』と察して、あらかじめ準備を進めてくれていたんです。最終形状が決まる前に、後から少しの修正で済むように大方の“型”を仕込んでおくなど、新型ウイングレットの投入は彼らの自律的な働きがなければ不可能でした」(中江)

室屋もその開発プロセスに「職人の魂を見た」と感銘を受ける。期間がないにもかかわらず、LEXUSがもつCTスキャン機器を活用して品質を徹底的に確認するなど、そこに一切の妥協はない。こうして生まれた新兵器はラウンド2の準決勝でチームに劇的な勝利をもたらした。

「このウイングレットがなければ、そこで負けていたと思います」と室屋は振り返る。さらに、データを解析すると「以前と比べてターンのときにより加速できている」という、チーム内で“超常現象”と呼ばれるほどの想定外の効果も確認された。極限の挑戦のなかで技術と情熱が結実した、まさにLEXUSらしさを体現する姿だった。

新型ウィングレットの最大の改善ポイントとなったウィングの形状
新型ウイングレットの最大の改善ポイントとなったウイングの形状

“陸”と“空”。議論を重ねて獲得した互いの文化へのリスペクト

今日の強固なチームワークを実現するまでの道のりは、決して平坦ではなかった。LPARは、自動車のプロフェッショナルである“陸”のLEXUSと、航空の専門家集団である“空”のPATHFINDERが融合したチームだ。設立当初、異なる文化をもつプロフェッショナルたちは妥協を許さず意見を交わした。 

「同じ日本語を喋っているのに、チーム結成時はメンバー同士で全く話が通じませんでした。我々LEXUS側は定められた安全基準をクリアしているかという試験データを“善”としています。しかし、飛行機の業界では、データだけでなく『なぜその設計思想に至ったのか』という背景や経緯、つまりトレーサビリティという“手前のストーリー”がなければ決して機体には乗せられないという文化があり、その差が両者間の溝となっていました。最初の数カ月は本当に険悪なムードで、一触即発の状態でした」(中江)

互いの“善”がぶつかり合うなかで突破口となったのは、「モノを前にして、エンジニアとメカニックが顔を突き合わせて対話したこと」(中江)だった。そこではじめて互いの文化へのリスペクトが生まれ、“勝つ”という共通目標に向かううち、本当の意味でひとつのチームへと昇華していった。レースを重ね、自分たちが開発したもので勝敗が決まるという経験を共有することで、メンバー一人ひとりの当事者意識はより強固なものとなった。

LPARのリーダーを務める室屋は、チームをまとめるうえで“絶妙な目標設定”の重要性を説く。

「リーダーは常にプロジェクトのゴール地点を見せることが大事です。その目標も、絶対に届かないところでは挑戦する意欲が湧かず、かといって低すぎても張り合いがない。絶妙な設定を設けることで小さな成功を重ねていき、その達成感が次への活力となるのです」(室屋)

この哲学の下、チームは現在、室屋が「ゾーンに入った」と評するほど“燃える集団”へと変貌を遂げた。

挑戦を通じて、工学やものづくりの楽しさを次世代へ

LPARの挑戦は、エアレースの勝利だけに留まらない。その知見は“陸”のクルマづくりにも還元されている。LPARの活動で培われた空力に関する高度な知見とレース現場ならではのアジャイルな開発手法によって結実した例には、LEXUSのバッテリーEV専用モデル『RZ450e "F SPORT Performance"』に搭載されたリアウイングが挙げられる。航空力学を応用したリアウイングという異例の採用は、LPARのメンバーが既存のプロセスに捉われず設計責任者へ直接提案を行ったことで実現した。さらにレース機の開発で培われた知見は、今年7月末に発表された特別仕様車『LC500 "PINNACLE"』にも受け継がれている。

LC500 "PINNACLE"
LC500 "PINNACLE"

「これまで車両特性の観点からクーペモデルにしか搭載していなかったリアウイングをはじめてコンバーチブルにも適用しました。クーペとは特性が異なるため、ウイングの取り付け部分の形状や位置を最適化しています。さらにその効果を最大限に引き出せるよう、フロントのカナードやサスペンションにも手を加え、車全体として性能を向上させています」(中江) 

航空技術の援用だけでなく、LPARの活動の根底には、LEXUSに根付く“人材の環流”という考えがある。エアレースという極限の現場を経験したメンバーがそこで得た熱量や挑戦するマインドを職場にもち帰り、組織全体に新たな活気をもたらすことを目指しているのだ。この挑戦から生まれる情熱の輪は社内だけでなく、未来を担う次世代にまで広がり、今年3月には知育玩具メーカーのボーネルンド社と協力し、子どもたちにものづくりの面白さを伝える活動なども行った。

「ワークショップでは、粘土を使いながら子どもたちに我々の空力開発を体験してもらい、『工学やものづくりってすごく面白い』ということを伝えました。そうやってものづくりを通じて、みんながワクワクできるような世界にしていけたらうれしいです」(中江) 

そして、室屋はLEXUSとのパートナーシップの先により大きなビジョンを見据えている。

「人や体験、人の輪が生み出す感動といったものはお金では買えない世界です。我々の活動のようにチャレンジをし、LEXUSというブランドがそれをサポートする。それを多くの人に素敵だと思ってもらえる世界が作れたら、結果として国の成長する未来にもつながっていくはずです。そんな世界観を一緒につくれたらいいと思っています」(室屋)

「We race to awaken a passion(情熱を呼び覚ませ)」とは、LPARが掲げてきたスローガンだ。彼/彼女らが空に描く軌跡は単なる勝利の証ではない。それは技術を磨き、人を育て、見る者の情熱を呼び覚ます、未来への挑戦の物語なのだ。

■LPAR関連情報
LEXUS ‐ YOSHIHIDE MUROYA | SPORT | LEXUS NEWS
https://lexus.jp/magazine/sport/yoshihide-muroya/

■LEXUS PATHFINDER AIR RACING公式SNS
Instagram
https://www.instagram.com/lexus_airracing/
X
https://x.com/lexus_airracing

■AIR RACE X
https://www.airracex.com


むろや・よしひで◎エアレース・パイロット、エアロバティック・パイロット。2009年に「Red Bull Air Race World Championship」にアジア人初のパイロットとして参戦。16年に千葉大会で優勝した後、17年にはアジア人ではじめて年間総合優勝を果たす。23年に、新生エアレース「AIR RACE X」を発足し、初代チャンピオンに輝く。地元福島県で復興支援や子どもプロジェクトにも参画し、福島県県民栄誉賞、ふくしまスポーツアンバサダー、福島市民栄誉賞などを受賞している。

なかえ・ゆうすけ◎Lexus International Co. レクサス統括部 主幹 兼 LEXUS PATHFINDER AIR RACING テクニカルコーディネーター。空力を専門として、LEXUSで数多くの自動車開発に従事。LPARでは開発領域全般の指揮を担当している。バーティカルターンなど、エアレースにおける常識を覆すようなアイデアを証明し、チームの「Red Bull Air Race World Championship」年間総合優勝などに寄与した。

Promoted by LEXUS / text by Michi Sugawara /photographs by Masahiro Miki / edited by Akio Takashiro