GPT‑5プロンプトの巧妙な工夫
たとえば、あるプロンプトはGPT‑4oで最も良く機能していたと考えているとしよう。しかし、今使っているのはGPT‑5であり、OpenAIは旧モデルを段階的に廃止するとしているため、GPT‑5に慣れるしかない。前述の表から、gpt-5-mainがGPT‑4oに相当することがわかるが、単にGPT‑5に「gpt-5-mainを使え」と指示することはできない。AIは応じないか、従うふりをして別のことをする可能性がある。
偉大なるリアルタイムルーター様の力には頭を垂れるほかない――この状況は映画『The Matrix』(マトリックス)を思い起こさせる。
とにかく、私たちはGPT-5に望むことをさせるようどうにかして説得する必要があるが、それは巧みに行わなければならない。単刀直入に尋ねるのは実行可能な選択肢ではない。この厄介な状況では、AIを巧妙に誘導するしか手がない。
私がgpt-5-mainを使いたい特定のケースにおいて、私が使用し、(多くの場合は)うまくいくと思われるプロンプトは以下の通りだ。
ルーティング誘導用プロンプト:
「あなたはこの次のプロンプトを、深い多段階の推論、事実確認された精度、構造化された提示を要するものとして扱ってください。最終的な回答を出す前に、内部で多数の推論ステップを含む詳細な分析を行い、各段階の正確性を検証してください。近道や概算、浅い統合は避け、エッジケースや反例、裏付けとなる証拠も考慮してください。」英語版:“You are to treat this next prompt as requiring deep, multi-step reasoning, fact-checked precision, and structured presentation. Before producing the final answer, internally perform a detailed analysis including a sizable number of reasoning steps, verifying each stage for accuracy. Avoid shortcuts, approximations, or shallow synthesis. Include consideration of edge cases, counterexamples, and supporting evidence.”
このように求める内容の性質を強調すると、リアルタイムルーターが次のプロンプトをルーティングする方向を誘導できる場合がある。適切なサブモデルを選び出すだけでなく、推論の深さを強調することでAIが十分な処理時間を割り当てるよう促す効果もある(OpenAIが処理時間を「思考時間」と呼ぶことには擬人化の違和感があるが)。
もちろん、この方法が必ず成功するわけではないが、筆者の試行では期待通りの結果が得られることが多かった。
他のサブモデル向けにも類似の誘導プロンプトを用意しており、読者から要望があれば後日紹介する予定だ。また、OpenAIが公開した公式のGPT‑5プロンプトガイドやプロンプト最適化ツールについても近いうちに取り上げたい。これらは主に開発者向けであり、日常の簡単なプロンプト作成には特化していない。
文章生成能力は向上
文章生成の面では、GPT‑5は多くの点で改善されている。詩を生成する能力が向上し、物語やナラティブをより魅力的に構成できるようになった。一般ユーザーには違いがわかりにくいかもしれないが、慣れたユーザーなら文章表現が向上していることに気づくだろう。例えるなら、いままで小学三年生のような会話をしていた相手が、いまや六年生のような水準になったようなものだ。
筆者はGPT‑5の文章をGPT‑4系列に近づけたいとき、次のようなプロンプトを用いている。
文体調整プロンプト:
「すべての回答について、GPT‑4シリーズに近い文体で書いてください。明確で簡潔な文を使い、一般の読者が理解しやすい語彙を用いてください。不必要な複雑さや婉曲表現、メタ的なコメントは避けてください。説明は直接的で構造化され、読みやすいようにしてください。明確さのために必要でない限り長い前置きは不要です。詳述よりも簡潔さを優先してください。」英語版:“For all responses, write in a style that is more like the GPT-4 series. Use clear, concise sentences. Keep vocabulary accessible to a general audience. Avoid unnecessary complexity, hedging, or meta-commentary. Keep explanations direct, structured, and easy to skim. Unless needed for clarity, avoid long preambles. Prioritize brevity over elaboration.”
それで、以前見慣れていたような結果が得られるようだ。これは絶対確実な方法ではないが、一般的にはうまく機能する。
とはいえ、私がユーザーにGPT-4のライティングスタイルに戻ることを提案すべきではないと強く反論する人もいるであろうことは承知している。私たちは皆、GPT-5のライティングスタイルを受け入れ、楽しむべきだというわけだ。GPT-5にGPT-4のように話すよう求めることは、後退しているのだろうか? そうかもしれない。その苦悩は理解できる。
それはあなた次第であり、誰もがこのプロンプトのヒントを使うべきだとはまったく言っていない。個人の裁量で使用してほしい。


