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2025.08.15 14:00

インテル株が急騰 トランプ政権が出資検討との報道で

Smith Collection/Gado/Getty Images

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14日の米株式市場で、トランプ政権が半導体大手インテルへの出資を検討しているというブルームバーグの報道を受け、取引終了間際に同社の株価が急騰した。トランプ大統領は先週、同社のリップブー・タン最高経営責任者(CEO)の辞任を求めていたが、今週には同CEOと会談していた。

インテル株は14日、7.4%高で取引を終え、3月以来の高値を記録。先月の最新決算が市場予想を下回ったことで起きた下落分を取り戻した。

ブルームバーグの報道によれば、トランプ政権はインテルの国内製造拡大のため、同社の株式を取得する可能性を同社と協議している。この取引はインテルがオハイオ州で計画している工場建設を支援するものになるという。出資額の規模は不明だ。

インテルは280億ドル(約4兆1000億円)を投じてオハイオ州に2つの施設を建設する予定だが、計画は遅延が続き、現在では2030年までの完成を見込んでいる。

ホワイトハウスのクシュ・デサイ報道官は、フォーブスへの電子メールで「仮定に基づいた取引についての議論は、政権からの正式発表がない限り臆測とみなすべきだ」と述べた。フォーブスはインテルにコメントを求めている。

インテル株の推移

インテル株の今年の推移は概ね好調で、AI競争で競合他社に遅れをとり、何年にもわたって続いた下降トレンドに歯止めをかけている。14日の急騰により、インテル株は年初比で19%高となった。ただし、上昇続きというわけではない。ロイターの報道でタンCEOが多数の中国企業と関係を持っていることが判明した4月には、今年の最低値となる18.13ドルをつけた。その後は株価が上昇したが、7月下旬に再び下落。しかしここ1週間での上昇幅は7月の下落分を上回り、株価は23.86ドルまで上がった。

オハイオ州工場が重要な理由

インテルがオハイオ州に建設予定の工場は、国内での半導体開発に焦点を当てるものとなる。台湾、中国、韓国といった国々が半導体生産で優位を保つ中、バイデン政権とトランプ政権はいずれも、国内生産を推進してきた。半導体は、コンピューター、スマートフォン、医療機器、自動車などの技術に不可欠だ。インテルは、オハイオ州コロンバス郊外の約1000エーカー(約4平方キロメートル)の敷地に建設する新施設に、280億ドルを投資している。だが同社の経営が悪化したことで、稼働開始の時期は2025年から2030年に延期された。

中国との関係が物議

今年3月に就任したタンCEOが600社以上の中国企業と関係を持っていた事実をめぐり、インテルは今月、トランプ政権から大きな圧力を受けていた。アーカンソー州選出のトム・コットン上院議員(共和党)は、同社の「米国の国家安全保障への潜在的影響」を疑問視。トランプも、タンCEOの辞任を要求した。

インテルは書簡で、取締役会とタンCEOは米国の国家・経済安全保障に尽力しており、トランプの政策に沿った重要な投資を行っていると説明した。トランプは今週初めにタンCEOと会談。「非常に興味深い」内容だったとした上で、タンCEOの「成功と台頭」を称賛し、自身の政権が1週間以内にタンCEOとビジネス上の提案について協議すると表明していた。

forbes.com 原文

翻訳・編集=遠藤宗生

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