ベラルーシ国防省は、9月12~16日までロシア軍と合同軍事演習を実施すると発表した。演習の目的について、同省は「ベラルーシとロシアの軍事的な安全を確保し、今後起こり得る侵略を撃退する準備を整えるため」だと説明した。
「ザパト(訳注:ロシア語で「西」の意)2025」と呼ばれるこの軍事演習では、防空と地上戦を視野に模擬訓練を実施する。演習はベラルーシで開催され、侵略軍の撃退法や核兵器の訓練も行う。
ベラルーシ国防省は、4日間に及ぶザパト2025に参加する両国の人員はわずか1万3000人だとしているが、ラトビア国防省による独自の調査では、10万~15万人の兵士が参加する大規模な演習になるとみられている。これにより、北大西洋条約機構(NATO)とウクライナは厳戒態勢に入った。
米誌ニューズウィークの取材でザパト2025について問われたウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシアが「この夏ベラルーシで何かを計画している可能性がある」と述べた。その上で、ロシアとベラルーシの合同軍事演習が「2022年に起きたような全面的な侵攻の始まりを意味するかもしれない」と警告した。
これに対し、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は米誌タイムの取材に応じ、ザパト2025に関する懸念は「まったくばかげたことだ」と一蹴。ベラルーシは近隣のウクライナやポーランド、あるいはバルト諸国を「攻撃するつもりはない」と断言した。
ベラルーシのウクライナ侵攻への関与
ベラルーシは2022年2月10~20日にかけて、自国内でロシアとの合同軍事演習を実施した。演習終了から数日後の同月24日、ロシアはウクライナへの全面侵攻に踏み切った。侵攻開始から間もなく、複数のロシア軍部隊がベラルーシ領土からウクライナに侵入。ロシア軍はベラルーシからウクライナに向けて空爆も開始した。
これに先立ち、ルカシェンコ大統領は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がベラルーシを「ロシア軍の拠点」として使用することを許可すると表明していた。ロシアはまた、ベラルーシを経由してウクライナに武器などの軍事物資を輸送し、自国軍に供給した。ロシア軍兵士はウクライナ北部を侵攻する際、隣接するベラルーシの兵舎に滞在していたこともある。



