今年も3年に一度の「瀬戸内トリエンナーレ」の会期を迎え、いっそうの盛り上がりを見せる瀬戸内エリア。「SETOUCHI」として海外からの認知度も高まるこの地域を舞台に、2021年に立ち上がった「瀬戸内デザイン会議」という会議体がある。
イシカワホールディングス代表取締役社長の石川康晴、ツネイシホールディングス代表取締役社長の神原勝成、デザイナーの原研哉の3人がファウンダーとなり、福武財団理事長の福武英明、大原美術館代表理事の大原あかねといった瀬戸内のキーパーソンのほか、建築家の藤本壮介、アトムの青井茂、Stapleの岡雄大など約30人がメンバーに名を連ねる。
「ローカルを考えることはグローバルを考えることであり、地球を考えることでもある」という思想のもと、瀬戸内を起点に、観光や地域開発、海の可能性といったテーマを設定。毎年ゲストスピーカーも迎えたメンバー限定の会議を行い、その内容を書籍にまとめて発信してきた。
5年目となる2025年は、有識者による生きた議論を閉じることなく届けていこうと、定例の会議を一般向けに拡張。8月24日、岡山市・能楽堂ホール tenjin9を会場に瀬戸内デザイン・カンファレンス「SETOUCHI Design Conference 2025」を開催する。
テーマは「VALUE・価値の共振」。昨今、さまざまな領域で高付加価値化や新しい価値の創出が掲げられるが、果たして「価値」とは何なのか。その壮大な問いに、経営者、デザイナー、建築家、編集者、アーティスト、投資家、研究者、料亭女将、僧侶らが多角的な視点で議論を重ねる。
例えば、人類学者の山極壽一が「人類は何を間違えてきたのか」と人類の根本を語ったのちに、テクノロジーの第一線をいく千葉工業大学学長の伊藤穣一とパワーエックス代表の伊藤正裕が「イノベーション/未来を変える価値」のディスカッションをする。
「オーセンシティとイノベーション、グローバルとローカル、スタートアップと老舗企業……さまざまな対比に頭をグラグラさせながら、価値を炙り出していけたら」と発起人の石川はいう。
瀬戸内エリアの文化活動を牽引する4財団の代表、大原あかね、神原勝成、福武英明、石川康晴が揃うセッション「つなぐ海・つながる文化」、Forbes JAPANが3年前から取り組む“文化×アントレプレナー”のセッションなどもここでしか聞けないラインアップ。また、カンファレンスのあとには、一部登壇者も参加する懇親会が予定されている。
この先の日本経済において、何が資源になりえるのか。そこで鍵となる価値は何なのか。さまざまな領域で未来を見据えている識者たちの頭脳が持ち寄り、それぞれのビジョンが交感させる「瀬戸内デザイン会議」に足を運んでみてはいかがだろうか。



