米国でアルコール飲料を飲む成人の割合が過去最低を記録したことが、13日に発表された調査会社ギャラップの世論調査結果から明らかになった。さらに、適度の飲酒であっても健康に悪いと考える人の割合は過去最高となった。
アルコール飲料を飲むと回答した成人は過去最低の54%で、2024年から4ポイント減少した。飲酒率は若年層が低く、18~24歳で50%だったのに対し、35歳以上では56%だった。男女別では男性の飲酒率が57%で女性の51%より高かった。人種別では、白人の飲酒率が56%で、それ以外の人種(52%)よりも高かった。
「1日1〜2杯」のという適度の飲酒であっても健康に悪いと回答した割合は53%で、ギャラップの世論調査史上初めて半数を超えた。この割合は2018年には28%、2023年には39%だった。飲酒が健康に良いと考える人は減少を続けており、2005年には25%だったが、2016年には19%に、そして今年は6%となった。
支持政党別では、共和党支持者の飲酒率が2023年以降、大幅に減少。2023年には65%だったのに対し、今年は46%となった。これと比較し、無党派層の飲酒率は55%(2023年比で6ポイント減)、民主党支持者は61%(同3ポイント減)だった。
飲酒率が低下しているにもかかわらず、酒類の売り上げはほぼ横ばいとなっている。市場データ企業NIQによると、ビール、ワイン、蒸留酒、ハードセルツァー(アルコール入り炭酸水)、カクテルなどの酒類の総売上高は2024年、3年ぶりに減少。ただし、前年の1136億ドル(約16兆6000億円)から1129億ドル(約16兆5000億円)と、減少幅は1%未満に留まった。
1997~2012年生まれのZ世代は、飲酒率が常に年長世代よりも低い結果となっている。Z世代の間でアルコール人気が低下している理由について専門家は、米国で1980年代に法定飲酒年齢が21歳に引き上げられたことや、飲酒を通じた人付き合いのあり方が変化したことなどの要因を指摘している。依存症を専門とするシビル・マーシュ医師は米誌タイムに対し、「かつては、ある程度の飲酒が人としての成熟や洗練度合いの証だった。しかし現在では、リラックスしたり洗練度を示したりする方法は多数あり、飲酒はその一つに過ぎない」と指摘している。
若年層における飲酒離れは、アルコール飲料業界にも変化をもたらしている。飲料市場分析企業IWSRのデータによると、ノンアルコールおよび低アルコール飲料業界は2022年から2026年の間に25%成長すると予測されている。アンハイザー・ブッシュなどの大手アルコールブランドも、売り上げにノンアルコール製品が占める割合が高まり始めていることを明らかにしている。
Z世代やミレニアル世代の間では、断酒を試す「ソバーキュリアス」というトレンドが広まっている。TikTokでは現在、ハッシュタグ「#sobercurious」をつけたクリエイターによる動画が14万2000本以上あり、2024年5月からほぼ倍増している。酒を1カ月間飲まない「ドライ・ジャニュアリー」や「ソバー・オクトーバー」のようなトレンドも人気を得ている。2022年には、米国の成人の約35%がドライ・ジャニュアリーに参加し、2019年の21%から増加した。



