職場における友情は、より良い協力関係、より高い士気、仕事満足度の向上への鍵として称賛されることが多い。「職場の親友」がいることで、エンゲージメント、定着率、さらには生産性が向上する。しかし、職場での友情には暗黙の境界線がある。その境界線を越えると、プロ意識が曖昧になり、誤解を生み、キャリアを危うくすることさえある。
では、その境界線はどこにあるのだろうか? 職場の友人関係は、どこまでいくと親密になり過ぎるのだろうか。また、仲間意識がプロ意識を損なわないようにするにはどうすればいいのだろうか。
職場での友情の利点とリスク
職場での友情が、9時から5時までの仕事をより楽しいものにすることは否定できない。オフィスにいる良き友人は、ストレスの多いプロジェクトにおける精神的な支えとなり、勝利を共に祝い、嫌なことがあっても何とかなると感じさせてくれる。個人的なメリットにとどまらず、友情はしばしば、より強い協力関係、より良いコミュニケーション、より結束力のあるチーム力学につながる。
しかし、職場での友情にリスクがないわけではない。親密な絆は時に、えこひいきやチーム内での派閥形成、説明責任に関する境界線の曖昧さなどを引き起こす可能性がある。例えば、批判的なフィードバックをする、仕事を割り振る、業績の評価をする、といった仕事上の責任と友人関係が重なりすぎると、緊張や憤り、あるいは対立を生む可能性がある。
そして、その副次的影響によるリスクもある。友人との関係が険悪になった場合、職場が影響を受けないことはまずない。友人間の意見の相違は、チーム力学に影響を及ぼし、信頼を損ない、生産性や士気に影響を及ぼす有害な底流を生み出すだろう。
境界線の認識
職場の友人関係は、双方が一定の境界線を尊重し、それを守ることで発展する。これらの境界線は、感情的な距離を作るためのものではなく、プロフェッショナルとしての明確さを維持するためのものだ。
第1に、友情によって、公平性や客観性が損なわれないようにしよう。指導的立場にあるのなら、意思決定や業績評価において、意識的であれ無意識的であれ、友人を優遇していないか確認しよう。バイアスがあると思われるだけでも、チームの信頼関係は損なわれる。
第2に、勤務時間中は私語を慎しもう。職場の友人と私的な話題を共有するのは自然なことだが、会議や重要な仕事のさなかに私的な話をしすぎると、優先順位について誤ったメッセージを送ることになりかねない。
最後に、私的ないざこざを仕事の空間に持ち込まないよう注意しよう。職場の友人と仲たがいした時、意見の食い違いを同僚に吐き出したり、他の人を巻き込んだりしたい衝動に駆られてはいけない。職場は生態系であり、混乱は、たとえ私的なものであっても波及効果をもたらす。



