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2025.08.14 09:00

ロシアに不満募らせるイラン シャヘド供与の見返り乏しく、対イスラエルでも頼りにならず

Shutterstock

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ロシアはイランで設計されたプロペラ推進式の自爆型ドローン(無人機)「シャヘド136」を使って、ウクライナの都市をほぼ3年にわたり連日攻撃してきた。この間、ロシアはシャヘドに大幅な改良を加え、弾頭や機体色、エンジンなどを変更してきている。その結果、イラン指導部は国産ドローンをロシアに供与した取り決めの一部について、後悔の念を抱くようになっているもようだ。

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米CNNがこのほど報じたところによると、ロシアがシャヘドの生産工程のおよそ90%を現地化し、イランの関与が限定的なより高度なバージョンも製造していることを受けて、イランはいわゆる「売り手の後悔」を感じているらしい。

イランではここへきて、ロシアとの軍事パートナーシップのメリットや、ロシアへの相当な支援の見返りに自国が具体的に何を得ているのかについて、国民の間で疑念が広がっている。

「ロシアによるS-400などの防空システムやSu-35戦闘機を引き渡す約束の不履行から、軍事協力のたび重ねる遅延まで、すべてはこのパートナーシップが相互信頼に基づくものではなく、むしろ日和見主義的で短期的な利害に基づくものであることを示している」。イランの改革派系新聞シャルグは8月5日付社説でそう嘆いている。

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CNNが取材した西側の情報当局者も、ロシアとイランの協力関係は「純粋に取引的で功利的」なものだと評している。

ロシアは7月、月間で過去最多となる6129機のシャヘドをウクライナに対して発射した。6月の5337機からさらに増えた。7月9日には1日だけで728機ものドローンで攻撃している。ロシアはそれでも満足せず、一晩で2000機のシャヘドをウクライナに撃ち込むことを目論んでいるという。

こうした大規模な一斉攻撃を可能にしているのが、モスクワの東1000kmほどに位置する「アラブガ特別経済区」でのシャヘド136(ロシア名・ゲラニ-2)の現地生産だ。イランは2023年初めに結んだ17億5000万ドル(約2580億円)相当の取引の一環で、ロシアにシャヘドの生産を許可した。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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