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2025.08.14 09:00

ロシアに不満募らせるイラン シャヘド供与の見返り乏しく、対イスラエルでも頼りにならず

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早くも2023年2月時点で、ウクライナで回収されたシャヘドの残骸から、電力施設のような大規模インフラへの攻撃に適した多目的弾頭の搭載が判明した。同年には、新たに黒い塗装を施されたシャヘドも登場した。塗料にカーボンが含まれており、レーダーに探知されにくくする仕様だ。最近では、格段に高速で高高度を飛行するジェット推進式のシャヘドも出現しており、ウクライナは最も高性能な地対空ミサイルの消費を強いられかねない状態になっている。

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ロシアは加えて、イランで設計され、ロシアで改良を重ねるドローンをさらに大量に製造すべく、生産施設の拡大も進めている。

こうした動きに、6月のイスラエルとの12日間の戦争でロシアから実質的な支援を受けられなかったことも相まって、多くのイラン人が不満を募らせている。

テヘランにある戦略研究センターのアナリスト、アリ・アクバル・ダレイニは「イラン側は、ロシアは義務づけられていなくても、もっと多くのことをやってくれる、あるいはさらに踏み込んだ措置を講じてくれると期待していた可能性があります」とCNNに述べている。「軍事介入とまではいかなくとも、ロシア側は武器輸送、技術支援、情報共有などの面で作戦上の支援を強化してくれるのではと」

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イランは、2022年2月にロシアがウクライナに対する全面侵攻を始めて以降に軍用ドローンをロシアに販売したことを公式には否定しており、戦争前にいくらかのドローンをロシアに販売したことだけ認めている。だが実際には、戦争初期からイランは複数のシャヘドを海路や空路でロシアに引き渡しており、広範な技術移転も行ってきた。2023年の契約では、2025年9月までにアラブガでシャヘドを6000機生産することが当初計画されていたが、ロシアはそれを大幅に前倒しで達成した。ロシアでのシャヘド現地生産の規模は当初の予想を上回り、1機あたりの生産コストも大きく下がった。

しかし、こうした価値ある支援の見返りとしてイランが得ているものは判然としない。2022年にシャヘド136の供与が報じられた際には、イランは戦争前に発注していたSu-35「フランカー」をロシアから物々交換で受け取るのではないかとの観測が浮上した。もともとはエジプト向けに新造されたフランカー24機が、イランに供与されると予想する向きが多かった。だが最近、ロシアはその一部をアルジェリアに引き渡したので、その予想は外れたか、イランが受け取るSu-35は24機よりも少なくなることになるとみられる。イランのジャーナリスト、サイード・アジミは2023年に、イラン政府は2021年までにロシアにSu-35を50機発注し、代金も支払ったが、1機も受領していないと報じていた。現在までにロシアがイランに引き渡したのは、亜音速のYak-130ジェット練習機数機にとどまっている。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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