年収変化は個人差大きく
収入面では、地方移住転職・Uターン転職者の平均年収は413.4万円で、転職前の496.3万円から約80万円のダウンとなった。年収が下がった人が3割いる一方で、約4割は年収が上がっており、収入変化についても個人差が見られる。

地方への転職活動で最も困ったこととして「仕事の選択肢が少ない」(34.7%)が挙げられ、「条件や待遇面で希望に合う仕事が見つからない」(31.0%)、「仕事内容や職種面で希望に合う仕事が見つからない」(26.0%)という声も多かった。

「幸福感」向上が最多
生活面での変化では、良くなったこととして「毎日の幸福感」(44.8%)が最も多く、ワーク・ライフバランス(45.3%)や通勤ストレスの改善(43.5%)も上位に入った。
一方で、悪くなったこととしては「給与」(39.7%)が最多で、「仕事のやりがい」(34.7%)、「長期的キャリアの展望」(32.2%)も挙げられた。ここからは、給与面ややりがいでのマイナスがあっても、それ以上に生活面での満足度を重視する人が多いことがうかがえる。

企業の工夫次第で応募増も
調査を監修した「マイナビ転職」編集長の瀧川さおり氏は、「都市部の給与水準にそろえるのは簡単なことではないが、休暇取得の促進や時差勤務・在宅勤務等の導入、最終面接以外はWEB面接にするといった工夫だけでも求職者側の負担軽減や応募のきっかけとなる」と指摘している。
今回の調査結果からは、現代の働き手の価値観の変化が見て取れる。かつて成功の象徴とされた高収入や都市部でのキャリアよりも、生活の質や精神的な充実を重視する傾向が強まっているようだ。年収のダウンを受け入れてでも「毎日の幸福感」を選ぶ人が6割を超えるという事実は、豊かさの定義が静かに変わりつつあることを物語っているのかもしれない。
【調査概要】
調査期間:2025年4月11日(金)~4月15日(火)
調査対象:20~50代の地方移住転職あるいはUターン経験者・検討者
有効回答数:800名(経験者600名・検討者200名)
調査方法:WEB調査


