ただし、4気筒エンジンのマスタングには人工的なエンジンを車内に響かせるサウンドシステムが搭載されているのだが、どういうわけか、音楽ソース(AMおよびFMラジオ、シリウス衛星デジタルラジオ、Bluetooth)を選択する度に音が途切れてしまう。これはテレビの音量を上げたり下げたりする度に映像が消えるようなものだ。
この車はいわゆる「ポニーカー(比較的コンパクトでスポーティな2ドアのクーペ)」なので、後部座席は広々としているわけではないが、子どもや愛犬を乗せるなら快適に過ごせるだろう。
マスタング2025年モデルのメーカー希望小売価格(税金・輸送費別)は、4気筒エンジン搭載のファストバック(クーペ)モデルが3万1920ドル(約470万円)からとなっているが、フルオプション装備の試乗車は5万1325ドル(約760万円)だった。
後部座席にギターを置いて、トランクにアンプを積んでも、軽食を入れるスペースは残っている。外観もマスタング史上最高にカッコいい。長いボンネット、威圧的なフロントグリル、そして2本のエキゾーストテールパイプ。変える必要のないところは変えなかった。2025年になってもマスタングは後輪駆動のままだ。
過去5年の間、フォードは着実に財務成長を遂げてきたものの、重要な電気自動車(EV)に関する難題に直面してきた。年間売上高は2020年の1271億ドル(約18兆8000億円)から、2024年には1849億9000万ドル(約27兆3000億円)に増加し、2025年第1四半期時点における直近12カ月の売上高は1829億ドル(約27兆円)となっている。
2020年の新型コロナウイルス感染症流行の影響による損失の後、フォードは2021年に黒字回復を果たし、安定した利益を確立してきた。2024年第4四半期には482億ドル(約7兆1000億円)の売上高に対し21億ドル(約3100億円)の営業利益を計上した。同社の粗利益は依然として堅調に推移しており、株価はこの5年間で景気の変動性にも関わらず、約87%上昇している。
しかし、フォードのEVに対する野心は大きな犠牲を強いた。EV・ソフトウェア部門では2024年に50億ドル(約7400億円)を超える赤字を計上し、2025年も同程度の赤字が予想される。
これに対応し、フォードは計画していた3列シートSUVの新型EVを開発中止し、次世代型「F-150」ピックアップトラックのEV仕様も発売を延期して、ハイブリッド車と商用EVに注力するよう戦略を転換した。
その一方で、同社のEVでもハイブリッドでもない古典的なマスタングは、2025年モデルも依然として魅力を放っている。


