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2025.09.02 14:15

グリーンランドの古代そり犬、92頭のゲノム解析から明かされたミステリー

米国科学振興協会(AAAS)━━グリーンランドを象徴するそり犬のゲノム解析から、イヌイット(カナダの先住民族)の移住史と北極環境への適応の豊かな歴史が明らかになったとする新たな研究が発表された。

この成果は、気候変動や急速な文化的変化の中でこの古代犬種を保護するための重要な指針となる。約9500年間にわたり、そり犬は北極圏での生活に不可欠な存在だった。多くの北極圏のそり犬種が、他犬種との交雑や役割の変化を経て家庭犬へと移行してきた一方で、グリーンランドそり犬、すなわちキメク(キミット)は、現在も伝統的な作業犬としての役割を保ち続けてきた。

しかし、この古代から続くイヌイットとの関係は、気候変動、都市化、スノーモービルなどの現代技術の普及といった要因によって急速に揺らぎつつある。今も続くキミットの減少は、残された遺伝的多様性を記録し、保全策を編み出す必要性の高まりを示している。

この犬種の歴史を再構築するため、タチアナ・フォイアボーンらの研究チームは、過去800年間にわたるグリーンランド各地の92頭の犬(古代および現代の個体を含む)からゲノムを解析し、さらに1900件以上の既存の犬ゲノムデータと比較した。

その結果、キミットは他の古代北極犬——とくに約3700年前のアラスカ犬——とともに独立したクレード(系統群)を形成していることが判明した。数千年をも経た上、広大な地理的隔たりを越えたこの遺伝的連続性は、かつてイヌイットの北米北極圏各地に渡る急速な移動説を裏付けるものである。

とくに注目すべきは、グリーンランドの地域ごとの犬集団の遺伝的差異が、先住民の文化的・言語的区分を反映している点だ。さらに、解析により、犬のグリーンランドへの移入には2回の「波」があったことが示され、人類の同地域への到達時期が従来考えられていたよりも早かった可能性がデータを通して浮かび上がったのだ。

また、ヨーロッパによるグリーンランド植民化にもかかわらず、現代のキミットにはヨーロッパ系統がほとんど見られないことも明らかになった。これは地理的隔離と近代の犬種保護政策によるものと考えられる。

「キミットに関する今回の新たな知見は、近交や外来遺伝子流入の水準を測る基準を提供し、この卓越した犬種の保護を目的としたマネジメントの基盤になり得る」と著者らは記している。「このような研究は、文化的重要性を持つ『種』の保全・保護に関する議論と意思決定において、古ゲノム学の知見がいかに有用であるかを示している」




※本稿は「Popular-archaeology」からの翻訳である。

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