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2025.08.14 13:00

腫瘍を光らせる「mRNAがん治療薬」で革新へ、米Strand Therapeuticsが225億円調達

Jacob Wackerhausen / Getty Images

IL-12を用いた免疫療法の突破口

ストランドが最初に手がけているタンパク質としては、免疫系を刺激するインターロイキン12(IL-12)と呼ばれる物質が挙げられる。このタンパク質は、がんの免疫療法に有望だが、これまでのところ、その毒性が抗がん作用を上回ってきた。「この物質は、標的化しなければ効果がないか、あるいは有害だ」とベクラフトは言う。「私たちが求めるのは、有効でしかも有害でないものだ」。

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彼によれば、Strand Therapeuticsががん患者22人を対象とした試験結果は、標的化によって毒性のない強力な治療を実現できる可能性があることを示していた。「最初の患者に投与した段階から、腫瘍が縮小し始めるのが見えてきた」とベクラフトは語った。

そして、その「驚くべき改善」は画像にもはっきり現れていた。ステージ4のメラノーマ患者の造影剤スキャンでは、黒い点で示された腫瘍が全身に広がっていた。しかし、Strand TherapeuticsのmRNA医薬品を用いた治療後に同じ患者を再びスキャンすると、残っていた黒点は腕に造影剤を注射した箇所だけだったという。「誰もこんな結果は予想していなかったと思う。本当に衝撃的だった」とベクラフトは語った。

商業化への道筋と将来の展望

しかし、たとえこうした結果が得られても、初期段階の臨床試験から商業化までの道のりは長い。Strand Therapeuticsは今回の新たな資金を使い、2030年までに最初の医薬品の承認を得ることを目指して、追加の臨床研究を行う計画だ。同社は、ほかにも複数の前臨床段階のmRNA療法薬を開発中で、その中には腫瘍への直接注射ではなく、患者の血流を通じて投与するものもある。これにより、肺がんのように到達が難しいがん種を含む、より多くの種類のがんに適用できる可能性がある。

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「私たちは、がん治療のあり方を根本から変えられると考えている。しかし、私たちはまだ、この技術が成しうることのほんの入り口に立ったばかりだ」とベクラフトは語った。

forbes.com原文

編集=上田裕資

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